「アマゾンGO」のメリットとデメリットとは?レジが消えて何が変わるのか

先日アマゾンはリアル店舗である「アマゾンGO」を2017年から出店開始することを発表しました。アマゾンのリアル店舗といえば、「アマゾンブックス」という本屋さんがすでにありましたが、食べ物を扱うコンビニやスーパーのような店舗は初めてです。「アマゾンGO」の店の面積は日本の平均的なコンビニとスーパーの中間くらいだそうです。さて、この「アマゾンGO」によって、既存のコンビニやスーパーなどの小売店舗にどのような影響を与えるのでしょうか。また、私たちの生活は一体どう変わっていくのでしょうか。今回はそんな「アマゾンGO」の開始によって想定される、メリットとデメリットについて考えていこうと思います。

「アマゾンGO」のメリットとデメリット

「アマゾンGO」のメリット


まずは「アマゾンGO」の開始によって想定されるメリットを見ていきましょう。

コンビニより気軽に素早く買える

「アマゾンGO」の最大のメリットはやはりレジがないということでしょう。店からレジをなくしたことによって、私たちは物を買うためにレジに並ぶという作業をしなくてよくなります。今までにちょっとコンビニでサンドイッチを買いに行ったら、予想外にレジに並ばされてしまった経験のある方も多いですよね。もしレジがなくなればこのような問題も解決されます。あなたは「アマゾンGO」に入店して、サンドイッチを手にとって店を出ればいいのです。これからは既存のコンビニよりも気軽に素早く商品を買えるようになりそうですね。

スーパーよりリーズナブル?

「アマゾンGO」の最大の疑問は商品の価格です。オンラインのアマゾンでは、一般的なコンビニやスーパーよりも安い価格で商品を買うことができます。この値段設定が果たしてリアル店舗の「アマゾンGO」にも適用されるかどうかですよね。もちろんリアル店舗には倉庫と違って、それなりの従業員を確保しなければなりません。そのため倉庫よりも店舗の方が人件費が高くつきます。このセオリーが売られる商品にも反映されれば値段は高くなりますし、逆にアマゾンのとんでもないマジックでオンライン並みの低価格を実現してくる可能性もあります。このあたりは蓋を開けてみなければわかりませんね。

情報を仕入れやすい

「アマゾンGO」で売られている商品の情報は当然アマゾンのアプリを通じて見ることができるでしょう。近くの「アマゾンGO」で売られているアイスクリームなどの情報もアプリで簡単にゲットできるでしょう。このあたりは日本のコンビニに通ずるところがありますね。

会員制なので安全性が増す?

「アマゾンGO」の利用にはアマゾンプライムへの入会が必須です。すると入店時に身元がバレてしまうので、強盗目的で入店する人も減るのではないでしょうか。そもそもレジがないので現金をせびることもできませんが。誰でも入店できるコンビニやスーパーよりも、ゲートを一つ儲けている「アマゾンGO」の方が安全面では優れているかもしれません。それに店内には無数のカメラとセンサーが設置されているそうなので、万引き等の犯罪行為も難しいかもしれませんね。

エコバックの利用者が増える

「アマゾンGO」にはレジがないので、当然店員さんが袋詰めしてくれることもありません。そうなれば自分でエコバックを持って行く人が増えるのではないでしょうか。このようにエコバックを持つ人が増えれば他の店でも使ってくれる可能性も広がります。これによってビニール袋の全体的な消費量が減って、環境にも優しいのではないでしょうか。

アマゾンGOのデメリット


続いては「アマゾンGO」の想定されるデメリットを見ていきましょう。

入店時にスマホをかざすのが面倒?

「アマゾンGO」の入店にはスマホでアプリを起動して、QRコードをかざす行為が必須になります。それも入店時に毎回必要です。この作業が面倒でデメリットになってしまうことが考えられます。ここで活躍するのがApple Watchではないでしょうか。Apple Watchのドックというショートカット機能に「アマゾンGO」のアプリを登録しておけば、Apple Watchのサイドボタンを一回クリックするだけでアプリを起動することができます。あとはApple Watchのディスプレイに表示されたQRコードをかざして入店すればいいのです。これによってスマホを取り出すという面倒な作業が不要になりますし、いまいち普及していないスマートウォッチ市場にも活路が見出されるのではないでしょうか。

システムトラブルへの懸念

「アマゾンGO」の店内ではカメラとセンサーを使って商品を感知して購入処理を行います。ところがこれらの機能が100%正確であるという保証はありませんよね。システムの不具合で買ってないものの請求がくることも考えられます。おそらくこのようなシステムのトラブルは出店開始時期にはしばしば起こることが予想されます。しかし2〜3年もすれば徐々に不具合も解消されてくるのではないでしょうか。これはある意味仕方がないことかもしれませんね。

従業員のブラック化

既にアマゾンの倉庫においても、従業員が過酷な環境で働かされているというブラック問題が世界中で浮き彫りになっています。おそらくこの問題は「アマゾンGO」においても顕在化するのではないでしょうか。「アマゾンGO」は少人数でなるべく人件費を抑えていくスタンスになることが予想されるので、当然一人当たりの負担増は必須でしょう。

最後に


この「アマゾンGO」の開始は、今までのアマゾンが持っていた唯一の弱点を埋めることになるでしょう。それは商品を手にするまでのスピードです。どれだけオンライン販売の配達スピードを上げても、リアル店舗で買うことには敵いません。そのため食品などをすぐ欲しいと思ったときは、アマゾンなんて使わずにコンビニやスーパーに買いに行っていたわけです。ところが「アマゾンGO」の開始によって、その問題も解消されます。コンビニやスーパーよりも「アマゾンGO」で買う方が速くなる時代がきます。そして従来のオンライン販売と組み合わせればもはやアマゾンで買えないものなどなくなるのです。

もちろん「アマゾンGO」の開始は、想定外の様々な問題を抱えることになるかもしれません。しかし10年後、「アマゾンGO」の店舗が町に溢れかえっているとしたらどうでしょうか。そのとき既存のセブンイレブンやローソン、イオンなどはどうやって生き残るのでしょうか。「アマゾンGO」の登場は、小売業界に激震をもたらすことは間違いなさそうです。