日本は遅れてる!? IoTの時代に中国に勝てるのか

スマホの登場とともに一気に普及したのが「アンドロイド」というOSでした。今や世界に出回っている数十億台という膨大な数のスマホに「アンドロイド」が搭載されています。そして、これからはスマホやタブレットに留まらずに、私たちの生活におけるありとあらゆる「モノ」に「アンドロイド」が搭載される可能性が出てきているようです。

すでにテレビに「アンドロイド」を搭載したソニーのブラビアや、TCLのRoku TVなどの「アンドロイドTV」というのが世に出始めています。他にも「アンドロイド」を搭載したスマートウォッチである「アンドロイドウェア」も、サムスンやファーウェイなどのスマホメーカーはもちろん、タグホイヤーやシチズンといった腕時計メーカーからも続々と登場しています。

そして、スマホ・タブレット・テレビ・腕時計の次にアンドロイドが搭載されるのが様々な「モノ」なのです。先日グーグルより発表された「Android Things (アンドロイドシングス)」はこれから始まるIoTの時代に向けた新たなアンドロイドOSのようです。これからはこの「アンドロイドシングス」があらゆる「モノ」に搭載される時代が来るでしょう。逆にいえば、これからの時代は「アンドロイド」を使いこないメーカーには未来はないということでもあります。では今回はきたるべきIoTの時代に日本は対応することができるのか、中国に勝つことができるのか見ていきましょう。

日本はIoTで中国に勝てるのか

今後アンドロイドを搭載する可能性があるデバイス

まずは「アンドロイドシングス」の登場によって、今後OSを搭載する可能性のある「モノ」をピックアップしてみます。私の想像の範疇なので、実際に製品化されるかはわかりません。楽しむつもりでご覧ください。

スマートカー

まずは自動車にOSを搭載した「スマートカー」です。既にテスラモーターズから発売されている全ての車には、テスラが開発した自社OSが搭載されていて、インターネットを通してアップデートしたり、グーグルマップをナビとして利用できるみたいです。テスラは車にNVIDIAのGPUを搭載するなど、コンピューターに近い構造をしているのも特徴です。今後発売される自動車にはOSが搭載されて、ナビアプリを動かしたり、あるいは最近ニュースになっているグーグルの自動運転ソフト「Waymo」を採用して、自動運転の機能を搭載するかもしれませんね。「スマートカー」は比較的実現が近い「モノ」ではないでしょうか。

スマートクリーナー

続いてはロボット掃除機にOSが搭載された「スマートクリーナー」です。もし「ルンバ」のようなロボット掃除機に「アンドロイドシングス」が搭載されれば、 より複雑な掃除パターンを学習できるかもしれません。また、荷物を運ばせるといったような掃除以外の面でも活躍するかもしれません。

スマートリフレジェレイター

冷蔵庫にOSが搭載された「スマートリフレジェレイター」は、あなたの買ってきた食材を最適な温度で管理できるかもしれません。もううっかり食材を腐らせてしまうこともなさそうです。

スマートエアーコンディショナー

エアコンにOSが搭載された「スマートエアーコンディショナー」は室内の温度を常に最適に保ちます。

スマートホーム

家そのものにもOSが搭載されるようになるかもしれませんね。「スマートホーム」はあなたの帰宅時には鍵を自動的に開き、逆に不審者を見つけたら家主や警察に通報してくれるようになるかもしれません。

スマートミラー

鏡にOSが搭載された「スマートミラー」は毎日あなたの健康状態をチェックしてくるでしょう。また、ニュースやリマインダー、天気予報なども顔を洗いながらチェックできるようになるかもしれません。

スマートクロック

「スマートクロック」はただの時計ではありません。時間はもちろん、スケジュールの予定を知らせてくれるようになるかもしれません。

スマートマイクロウェーブ

「スマートマイクロウェーブ」にかかればどんなものでも瞬時に温めることができるでしょう。冷凍食品も一瞬でプロの料理に変わるかもしれませんよ。

スマートトースター

「スマートトースター」を使えば、あなたはもうパンを焦がすことはなくなるでしょう。

スマートグラス

メガネにOSを搭載した「スマートグラス」は、あなたの手放せないデバイスになるでしょう。ウェブサイトの閲覧やメールのチェックも全て「スマートグラス」でできるようになるのです。もはやスマートフォンも必要なくなるかもしれませんね。

スマートウィンドウ

あなたの部屋にある窓は「スマートウィンドウ」として巨大なディスプレイになるでしょう。その巨大なディスプレイを自由に使いましょう。

IoTデバイスに必要なものとは?

IoTデバイスの作り方は、概ねスマートフォンの作り方と似ています。ハードウェアを設計し、必要なパーツを揃えてOSをインストールすることです。あとはOSがうまく動作するようにソフトウェア周りを調整していけばいいでしょう。例えば「スマートカー」を作りたいなら、CPU/GPUと車載カメラ、ディスプレイ、電気モーターとリチウムイオン電池、その他諸々を調達して工場でケースを加工してパーツを組み立てます。あとはOSをハードウェアに最適化してきちんと動くようにすれば完成です。このようにIoTはデバイスのコピーを容易にします。複雑な「技術」は「アンドロイドシングス」で処理するようになるので、メーカーはなるべく安く質のいい部品を調達して組み立てることが必要になります。

日本メーカーはソフトウェアの扱いが苦手?

日本メーカーのハードウェアの技術力は間違いなく世界一です。実際にiPhoneにも日本メーカーの多くの部品が使われています。ところが、ことソフトウェアの扱いとなると日本メーカーはとても苦手のようです。かつてスマートフォンというものが世に現れた頃、「アンドロイド」という未知のOSを全く使いこなせずに、ガラケーからスマホへと開発をシフトでいないメーカーが多かったようです。最終的に日本メーカーで生き残ったのはソニーくらいで、あとは韓国のサムスンとファーウェイなどの中国の新興メーカーにスマホ市場を握られてしまいました。このように日本メーカーはソフトウェアの扱いが苦手のようです。

最後に

日本がスマホの時に犯した過ちを、IoTの時代に再び行わないかがとても心配です。例えば日本の自動車産業は今世界トップレベルですが、今後スマートカーの開発に手こずって中国に市場を持っていかれないかが心配です。これから主流になるであろう、EV(電気自動車)は、ガソリン車と比較にならないくらいとても簡単につくれてしまいます。そうなれば中国に巨大な工場をつくって、格安EVを大量生産することもたやすいはずです。そうならないためにも、一刻も早くIoTデバイスの開発に着手して、「アンドロイド」を使いこなすことが必要になるでしょう。