スマートテレビが家庭用ゲーム機の市場を奪う日

スマートフォンの登場は数多くの電子機器を絶滅に追いやりました。デジタルカメラや携帯音楽プレーヤー、カーナビ、そして「携帯ゲーム機」です。ソニーは「PS Vita」の販売不振から後継機を発売しないことを発表していますし、任天堂の「3DS」の後継機もおそらく「Switch」に統合される見込みです。このようにスマホの登場によって、携帯ゲーム機関連の市場はすっかり衰退してしまったようです。

そんな状況を判断してか、これまでは両社とも自社ハードにしか販売を許さなかった自社製ソフトをスマホに提供し始めています。任天堂は既に「Miitomo」と「スーパーマリオラン」をスマホ向けにリリースし、ソニーも「どこでもいっしょ」や「パラッパラッパー」をスマホでリリースする準備をしているようです。このように携帯ゲーム機の市場はほとんどスマートフォンに移ったと見ていいでしょう。

一方で家庭用ゲーム機の市場はどうでしょうか。現在はソニーの「PS4」が世界的にとても好調で、PS3の累計販売台数を上回る勢いで売れています。このように家庭用ゲーム機市場においては、スマホの影響をあまり受けていないのかもしれません。ところが、昨今はテレビにOSを搭載した「スマートTV」なるものが台頭してきているようです。果たしてこの「スマートTV」なるものが、今後の家庭用ゲーム機市場にどのような影響を与えるか考えていきましょう。

スマートTVの台頭

「スマートTV」には、現在2種類のOSがあります。1つはアップルの「Apple TV」に搭載されている「tvOS」です。もう1つはアマゾンの「Fire TV」などに搭載されているグーグルの「Android」です。両者の関係は、スマートフォンにおける「iPhone」と「Android端末」との関係にとても近いです。「tvOS」が搭載されているのは「Apple TV」のみですが、「Android」が搭載されているスマートTVは複数のメーカーが販売しています。これらのスマートTVがじわじわと世に広まりつつあるのです。

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スマートTVがゲーム機に?

「スマートTV」はスマートフォンと同様にアプリを自由にインストールすることができます。Apple TVは2015年発売の第4世代からApp Storeに対応しました。すでに多くのゲームアプリがApple TV向きにリリースされています。そんななか先日超人気ゲーム、「マインクラフト」の配信がApple TVで始まりました。このように「スマートTV」がゲーム機としての側面を持ち始めているのです。

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ゲーム機としてのスマートTVの強み

家庭用ゲーム機と比較したときのスマートTVの強みは、何と言ってもゲームの数です。スマホ向けアプリと同様に、条件を満たせば誰でもアプリストアに配信できるので、結果としてゲームの数も多くなります。またゲームのバリエーションの豊かで、大手のゲーム会社には思いつかないようなユニークなゲームもあります。スマホ向けに開発したアプリをスマートTVにそのまま移植させる作業が容易なのもメリットでしょう。「スマートTV」向きのゲームアプリは日に日に数を増しています。

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ゲーム機としてのスマートTVの弱み

家庭用ゲーム機と比較したときのスマートTVの弱みの1つは「処理能力」です。スマートTVであるApple TVやFire TVなどと、家庭用ゲーム機であるPS4やXbox Oneとを比べると、スマートTVの方が処理能力の面で大幅に劣ります。そして2つ目の弱みは「ゲームの質」です。誰でもアプリストアで配信できるということは、その分駄作も多いということになります。もちろん質の高いゲームもありますが、家庭用ゲーム機のような超大作ゲームは「スマートTV」には少ないのが現状です。そのため「GTA」や「アンチャーテッド」、「FF」、「バトルフィールド」などの最新作をプレイしたいなら、現状は家庭用ゲーム機を買う必要があります。

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「処理能力」はやがて追いつく?

「スマートTV」の弱点の1つは「処理能力」でした。ここが改善されない限りは、スマートTVが家庭用ゲーム機を超えることはあり得ないでしょう。しかしこれもあと数年で追いつくのではないかと予想します。スマートTVに搭載されるCPUは、基本的にスマートフォンと同じものです。例えばアップルのAシリーズは、毎年40%程度の性能向上を実現しています。もしこのペースを維持できると仮定すれば、2〜3年後にはApple TVは家庭用ゲーム機に追いつき、5年後には家庭用ゲーム機を追い越すことになります。もちろんその頃には「PS5」などの次世代機が出ているかもしれませんが、少なくとも差が縮まっていくのは間違いありません。

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スマートTVが家庭用ゲーム機の市場を奪う日

現状はスマートTVが家庭用ゲーム機の市場を奪うことはまずないでしょう。ただし5年後はどうなっているかはわかりません。これから先は、テレビで「YouTube」や「ネットフリックス」を見たいと望む人が多くなるほど、「スマートTV」が売れることになります。そして、そうすることで、家庭用ゲーム機とは比べものにならない範囲で「スマートTV」が普及していくことが予想されます。もしそうなれば、スマートフォンが携帯ゲーム機の市場を奪ったのと同様に、スマートTVが家庭用ゲーム機の市場を奪う日がやってくるかもしれません。