芸能界のタブーをなくすためには?

最近何かと「芸能事務所」の不穏をネットニュースで見かけますよね。ことの発端は2017年の元日に放送された「ワイドナショー」という番組での松本人志さんの発言で、

「いまだに事務所の力関係で大きい事務所のスキャンダルは扱えなかったりすることがあるんですね」「そういうのは一般の人にバレてるから。なんであのニュース扱わないのとか、今やネットでさんざん上位に上がっているのにワイドショーでは一切扱わないこの“違和感”は、テレビ業界の人たちもそろそろ気づいてほしい」

という意味深な内容のものでした。具体的にどことは言っていませんが、ネット上ではこれはおそらく「バーニング」や「ジャニーズ」のことを指していて、2016年に問題になった三代目J Soul Brothersが1億円でレコード大賞を受賞した件などを指していると思われます。

さらに1月21日の狩野英孝の淫行謝罪会見の際に、ロンドンブーツ1号2号の田村亮さんが自身のツイッターにて、

「ジャニーズはいいなぁ~」「記者もジャニーズやバーニングにもコレくらい聞けたら、認めるけど、弱小事務所の時はコレやもんなぁ~~」

と投稿したそうです(参考: exiciteニュース)。該当のツイートはすぐに削除されましたが、有名芸能人が名指しで特定の事務所を批判したのはおそらくこれが初めてで、ネット上の疑問が確信に変わった瞬間でもありました。このように「バーニング」や「ジャニーズ」といった巨大事務所がテレビの芸能界に幅をきかせていて、自由な報道を阻害している可能性が明るみになりつつあるのです。

そして、1月22日放送の「ワイドナショー」では、不倫疑惑が報じられているタレントのマギーさんに対して、松本人志さんと東野幸治さんは、

松本「マギーの話をしたい」東野「マギーの話をしたら怒られそうなんで」「鍵かかってますから、開けないでください」

というやりとりをする場面がありました(参考: exciteニュース)。マギーさんの所属事務所は「レプロエンタテインメント」というバーニング系列の事務所で、彼らの発言は暗にバーニング批判をしていると受け取ることができます。

バーニングを潰しても、第2のバーニングが生まれるだけ?

松本人志さん、田村亮さん、東野幸治さん、3人に共通するのは、「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」所属の芸人さんだということです。今の日本の芸能界では、バーニング、ジャニーズに次いで吉本が3番目に大きい事務所であると言われています。そのため、吉本にとってはバーニングは邪魔な存在なのかもしれません。もしかしたらバーニングの不祥事を叩くことで、失脚を狙っているのかもわかりません。

ではもしバーニングが失脚すれば、日本の芸能界はクリーンになるのでしょうか。そうはならないと思います。かつて1970年代頃までは「渡辺プロダクション」という事務所が芸能界を仕切っていたそうです。当時は「渡辺プロなしでは番組は作れない」と言われるほどの権力を持っていたそうですね。その支配に反対する形で、今のバーニングなどの力のある事務所が生まれていきました。そのため、例えばバーニングが失脚して吉本が芸能界を仕切ることになっても、おそらくまた同じことの繰り返しになる可能性が高いのです。

最後に

では日本の芸能界における負の連鎖を断ち切るためにはどうすればいいのでしょうか。その答えは、芸能事務所の制度をやめて、アメリカのような「エージェント」を使う制度へ切り替えるしかないのかもしれません。アメリカではタレントや俳優は、特定の事務所に所属せずに個人間のやりとりで仕事を獲得しています。タレントが真ん中にいて、仕事を手配するエージェント、段取りを組むマネージャーなどに手数料を払って個別に対等な「契約」をするのです。この個人主義のシステムでは、特定の事務所が権力を持つことはなくなります。もっとも、今後視聴率低下によってテレビそのものが衰退していけば、もはやどうでもいい話になるのですが。