電子マネーが普及しない理由は、「企業の都合」が原因?

最近は「電子マネー」という言葉をよく耳にしますよね。

この電子マネー自体は10年以上前から日本にあったものですが、近年のいわゆる「フィンテックブーム」で再注目されていることに加えて、スマホで電子決済できる、アップルの「Apple Pay」や、グーグルの「Android Pay (Google Pay)」が日本でも利用可能になったことで、再び「電子マネーを積極的に使おう」という風潮が生まれています。

これまで現金主義だった日本において、これほど電子マネーが注目されているのは後にも先にもないかもしれませんね。

種類が多く互換性に乏しい電子マネー


さてそんな電子マネーですが、いざ利用を始めるとユーザーはある混乱にぶつかります。それは電子マネーの種類があまりにも多いということです。

まずプリペイド式だけでも、JR東の「Suica」、楽天の「Edy」、イオンの「WAON」、セブン&アイの「nanaco」のように、メジャーなものが4種類が存在します。

そしてやっかいなことに、これら4つには互換性がないのです。そのため、「Suica」のみ対応の駅改札で「Edy」や「WAON」や「nanaco」は使えませんし、「Edy」のみ対応の券売機などでは「Suica」、「WAON」、「nanaco」は使えません。

この電子マネーの種類の多さと互換性の乏しさが、ユーザーにとっては混乱の原因になっています。

さらに2016年に始まったスマホ向け電子決済のApple Payは「Suica」、「iD」、「QuickPay」に対応で、Android Payは「Edy」のみの対応になっています(※17年4月よりnanacoにも対応しました)。このようにOSレベルで対応している2つの電子決済の間にさえも互換性がないのです。

結局現金で払った方が便利?


いざ電子マネーで買い物をしようと思ったら、自分の使っている電子マネーが対応していなかったということはよくあります。主要なコンビニでは、ほとんど全ての電子マネーが利用可能ですが、  特定の電子マネーにしか対応していない店舗や券売機などはまだまだ多いです。

もし決済時に自分の電子マネーが使えなかったら、すぐさま他の決済方法を考えなければならなくなりますし、それによって後ろに並んでいる人にも迷惑がかかるかもしれません。

そのため事前にレジの電子マネー対応表をチェックしたり、一か八かの賭けで電子マネーを試すよりも、結局初めから100%対応している現金で払った方が確実なのです。要するに、電子マネーって結構めんどくさいのです。

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最後に

このように現状の電子マネーはとても使い勝手が悪いです。そしてこの使い勝手の悪さが、電子マネーの利用と普及を妨げている原因なのではないでしょうか。

もし本当に電子マネーを普及させたいなら、あらゆる電子マネー全てに互換性を持たせるべきです。Suicaであろうと、Edyであろうと、何で払うかはユーザーが好きものを選べるようにしなければいけません

もちろん、これをやるには電子マネーの企業間で提携せねばならず、自社の規格を独占できなくなるというデメリットを被る可能性があります。しかしそんなものは企業側の都合であって、利用するユーザーには関係のないことです。

もっとも、今のまま電子マネーの使い勝手が悪く、結局電子マネーが普及しなければ、結果的に損をするのは企業の側です。「フィンテックブーム」に乗っている今は、電子マネー普及のための最良の時期です。今一度電子マネーの使い勝手と規格のあり方を見直すときではないでしょうか。