アマゾンがFire TVを他社製テレビに一体化

アマゾンは自社のストリーミング端末である「Fire TV」を内臓したテレビを、中国のメーカーSeiki、Westinghouse Electronics、Element Electronicsから発売すると発表しました。アマゾンがこのように自社製品の機能を他社に供給するのは初めてのことです。これまではあくまで「外付けデバイス」として売ってきたFire TVを、これからは「テレビ一体型」としても販売していくようです。

外付けストリーミング端末から、スマートテレビへとシフトしていく?


外付けでテレビに接続するストリーミング端末(セットトップボックス)といえば、アマゾンの「Fire TV」、グーグルの「Chromecast」、アップルの「Apple TV」などが主流でした。ところが最近は、ソニーのブラビアのように、テレビそのものにAndroidを搭載した「Android TV」なるものが登場していました。このような初めからテレビにOSを内臓したスマートテレビであれば、外付けのストリーミング端末を接続せずともYouTubeやネットフリックスなどのネット動画や、対応したアプリをインストールすることが可能です。つまり従来の外付けのストリーミング端末はやがてお払い箱になる可能性があるということです。この状況を危惧したアマゾンは、初めて他社テレビメーカーと提携する道を選び、「Fire TV」を供給することに決めたのではないでしょうか。

Fire TV搭載テレビは増えていく?


このようなFire TVを搭載した他社製テレビは今後増えていくのでしょうか。もしAndroidのように複数メーカーのテレビに搭載することを許可すれば、増えるだろうし、Seiki、Westinghouse Electronics、Element Electronics一社のみの独占提携であれば、このメーカーからしか販売されないことになります。これはアマゾンの今後の動向次第なので、正直どちらを選ぶかは分かりませんね。

一体型Apple TVは登場するのか


ここで気になるのが「Apple TV」を販売するアップルの出方ですよね。すでにライバルであるグーグル(Android)もアマゾン(Fire TV)も一体型のスマートテレビへの供給を可能にしています。アップルはそれを黙ってみているのでしょうか。「Apple TV」は2015年の第4世代からApp Storeに対応して大幅進化しました。日に日に対応アプリの数を増やしているApple TVですが、ここでグーグルやアマゾンにシェアを奪われるようなことがあってはいけません。そこでアップルもテレビ一体型のスマートテレビを発売すればいいのです。もちろん自社開発は難しいかもしれないので、仲の良い「LG」と提携して、LGのスマートテレビに「Apple TV」を内臓すればいいでしょう。もちろんアップルはハードとソフトを一体で開発する姿勢を貫いてきたので、このやり方はそれに反するかもしれません。しかし、アップルはすでにMac用の外付けディスプレイの開発を断念して、LG製品に頼っている状態なので、これも似たようなものではないでしょうか。いずれにせよ、アップルから一体型のスマートテレビが発売になるとなれば、購入するユーザーは多いはずでし、世界トップクラスのシェアを持つLGから発売となれば、アップルにとってもメリットが多いでしょう。

最後に


これからは全てのテレビがインターネット接続され、ネット動画を中心に視聴されていくでしょう。また、スマートテレビならではの便利なアプリも今後登場してくるかもしれません。スマートフォンやタブレットよりもはるかに大きいディスプレイを持つスマートテレビは、これまでのテレビではできなかった使い方がされるかもしれません。また、スマートテレビ向けのゲームも今後は増えてくるので、家庭用ゲーム機の存続が危ぶまれるかもしれませんね。ともあれ、今後のスマートテレビ市場から目が離せませんね。