日本でも「ヤングホームレス」で溢れかえる時代がくる?

リーマンショック以降、ヨーロッパの経済が危機に瀕しているようです。特に若者の失業問題が深刻で、イギリス、フランス、イタリアなど、ドイツを除くヨーロッパ先進国のほとんどで職に就けない若者が増えているそうです。そんな中で急増しているのが、「ヤングホームレス」と呼ばれる、家に住めない若者たちです。所得の低下から、家賃を払うことができずにホームレスになってしまうそうです。このヤングホームレスは、イギリスだけで8万人いるそうです。深刻なのは、ヤングホームレスの中には大卒や大学院卒の人も多いことです。本来社会貢献するはずの優秀な若者が路頭に迷う事態に陥っているのです。

日本でもヤングホームレスで溢れかえる時代がくる?

では日本の若者はどうなのでしょうか。今のところ、日本で若者のホームレス問題というのは聞いたことがないですよね。実際に日本のホームレスの数は6千500人ほどで、その中に若い年齢層はほとんどいません。とは言っても日本の経済がリッチだからという訳ではないみたいです。

若者の生活は年々苦しくなる

日本でもヨーロッパほどではないにしても、若者の平均的な所得は減少を続けています。20年前と比較しても、20代の平均所得は40万円以上下がりました。ところが、家賃や生活にかかるコストが減少していないため、年々生活が苦しくなっているのです。よく若者の〜離れという言葉を耳にしますが、あれはモノやサービスに興味を失ったのではなく、生活が苦しくなっているのが原因です。つまり買わないのではなく、買えないのです。もしお金があり余っていて、貯蓄もたっぷりあるなら、皆んな車や家を買いますよ。

日本の若者にホームレスがいない理由は?

ではここまで生活が苦しいのにも関わらず、なぜ日本の若者にはホームレスがいないのでしょうか。その答えは、親世代がお金を持っているからです。 日本のミレニアル世代の親は、経済成長期の恩恵にあずかった人が多いので、所得に余裕のある人が多いですし、マイホームを購入した人も多いです。そのため、若者の生活が困窮しても、親の助けを借りることができます。東京で一人暮らしをしていていも、親から仕送りをもらっている人は多いですし、そもそも一人暮らしはコスパが悪いので実家暮らしする人が増えています。ミレニアル世代が結婚式にお金をかけられるのも、親が金を出しているからです

ミレニアルジュニアはヤングホームレスになる?

今のミレニアル世代が親になっていくなかで、彼らの子どもたち、つまりミレニアルジュニアたちは、これまでと同様の生活をしていけるのでしょうか。ミレニアルジュニアが大人になる頃には、おそらく若者の平均所得はさらに低下し、逆に家賃は上昇していることが予想されます。つまりミレニアルジュニアたちは、ミレニアル世代以上に厳しい生活を強いられることになるのです。

そして最も悪いことは、親であるミレニアル世代はお金に余裕がないため、子どもの生活費を援助することができません。当然彼らはマイホームも持っていないので、大学を卒業した段階でジュニアたちを家から追い出そうとします。ここにきてヤングホームレスが増える条件が整うわけです。ミレニアルジュニアたちは所得が少なく、高騰する家賃を払うことができなくなります。かと言っても親のミレニアル世代たちは頼りにならないので、止むを得ずホームレスになるわけです。2030年以降には、ヤングホームレスが日本においても社会問題になるかもしれません。

最後に

このような経済問題は日本に限った話ではありません。ヨーロッパでも、アメリカでも、韓国でも、若者の所得が下がり続けて親とシェアハウスをする人が増えています。特にアメリカでは大学の学費や家賃相場が年々高騰しているのにも関わらず、平均所得はジリジリと下がっている謎現象が起きているので、一人暮らしをして自滅する若者が増えているそうです。この背景には格差の拡大が関係しています。アメリカでは金持ちはどんどん金持ちになっていますが、庶民は逆に貧しくなっています。いずれ中世ヨーロッパの貴族政治のような経済状態になる日が近いかもしれません。

資本主義とは、人々が自由に売買をすることで、全員に利益がもたらされるものだと考えらてきましたが、それにもだんだんと限界が近づいているように感じます。今後さらにテクノロジーの進歩によって失業者が増えるのならば、22世紀を迎える前に資本主義の見直しが行われるときが来るかもしれません。