「平成時代」と「大正時代」は似てる!? 意外な共通点とは

2016年の夏に天皇陛下が生前退位のご意向を示されたことが話題になりました。天皇陛下がご存命のうちに皇位を退かれるというとで、1989年から約30年続いた平成時代が終わることになります

さて、この「平成時代」というのは多くの出来事が起きた時代でした。そして奇しくもこの「平成時代」が、1912年から始まったの「大正時代」と共通する点が多いことが話題になっています。

「大正時代」は1912〜1926年の15年間をさす時代で、大正生まれの方々は現在の90〜104歳になります。

今回はそんなおよそ100年前にあたる「大正時代」と、現代の「平成時代」とを比較していきたいと思います。

大正と平成の共通点

高度経済成長の「後」の時代

大正時代は、明治時代の明治維新、日清戦争・日露戦争後の経済成長を経た後の時代でした。そして平成時代も、昭和時代の太平洋戦争後からの復興、高度経済成長を経た後の時代です。どちらも経済的に大きく成長した後の時代になります。

平和

国内に限定すると、大正時代も平成時代も大きな紛争がなく平和な時代でした。

期間が短い

大正は15年。平成は29年〜です。どちらも明治や昭和と比べると短いです。

テクノロジーの進歩・新しいメディアの普及

大正時代は電波・電話技術が発達しました。新しい印刷技術の登場から、新聞・雑誌・書籍などの紙媒体のメディアが大きく普及し、人々の思想に影響を与えました。また、日本初のラジオ放送も大正時代に始まっています。平成時代はパソコン、インターネット、スマホが大きく進化した時代でした。それまでなかったウェブサイトやソーシャルメディアなどのインターネットメディアが登場しました。この新しいメディアもまた、私たちの思想に影響を与えたことは間違いないでしょう。

バブル

大正時代も平成時代もバブルを持って始まりました。大正バブルは第1次世界大戦の軍事需要からなり、平成バブルは変動相場制からなる不動産の価格高騰です。どちらの時代も急な好景気から事業の成功によって金持ちになる成金が登場しました。大正時代はお札に火を点け、平成時代はお札でタクシーを拾っていました

就職難

大正時代も平成時代も、バブル崩壊後の反動で就職難の時代に突入します。大正時代後半の大卒内定率は6割程度と言われています。もっとも大正時代に大学へ進むことは、今はとは比較にならないほど難しいことでした。平成時代も、バブル崩壊と、リーマンショックの影響で就職難がありました。

無職の増加

就職難から定職に就けない無職の人が増えました。明治末の生まれで大学を卒業しても定職につけない人が増えました。1929年には就職難を描いた小津安二郎監督の映画「大学を出たけれど」が公開されました。また、高学歴で無職ですが、お金には困っていない「高等遊民」という者も存在したそうです。平成時代も、バブル後の就職氷河期から無職の人が増えました。職に就けたとしても、契約社員、派遣社員、フリーターなどの非正規雇用が急増して社会問題になりました。

大震災

大正時代は1923年の関東大震災。平成時代は1997年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災がありました。

世界恐慌

1929年の世界恐慌は厳密には昭和4年ですが、大正時代の近い時期にありました。平成時代には2009年にリーマンショックがありました。

共通していない点

大正デモクラシー

大正時代には「大正デモクラシー」と呼ばれる自由を求める民主主義運動が花開いた時代でした。普通選挙を求める運動、言論・集会・結社の自由を求める運動、海外派遣の停止を求める運動、男女平等、部落差別解放、団結権、ストライキ権の獲得運動、自由教育、大学の自治権を求める運動など、当時の人々は自由のために立ち上がりました。今ではこれらの権利は当たり前のこととして認められています。ところが平成時代にはこのような運動はあまりみられませんでした。長時間労働やブラック企業問題、男女の所得格差問題はあるものの、これは仕方がないこととして受けれ入れ、ツイッターで愚痴るばかりで人々は立ち上がろうとはしませんでした。

恋愛

大正時代は自由恋愛が叫ばれた時代で、人々は恋を求めていました。平成時代は若者の恋愛離れと呼ばれ、恋人や結婚を望まない男女が増えました。

大正生まれは戦場に駆り出された

1941年から太平洋戦争が始まり、当時の成人男性はほぼ例外なく戦場へ送り込まれました。大正生まれの男性は不幸なことに、ほぼ全員が戦場へ行っています。そのため大正時代に生まれた男性の6割は戦死したと言われています。幸運なことに平成生まれが戦場へ駆り出されることは今のところありませんし、今後もあってはいけません

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最後に


このように、大正時代と平成時代には確かにいくつか共通点はあるものの、大正時代の方が平成とは比較にならないほど厳しい時代だったようです。そして大正時代を生きた私たちの先祖は、今を生きる私たちよりもずっと行動力があり、自由のために戦っていました。私たちは現代に生まれただけで幸運だし、もっとそのことを自覚しなければいけないようです。もうすぐ平成の時代は終わることになりそうですが、100年後の人々が、「平成は良い時代だった」、「平成に行ってみたい」と言っていくれるといいですね。