テレビの衰退で「芸能界そのもの」がオワコンになるのか

皆さんは芸能人というものにどのような印象を持っているでしょうか。

華やかで、有名で、人気者であるといったところでしょうか。ではなぜそのようなイメージを持つようになったのでしょうか。それはやはりテレビを見ている人が多いからです。

昨今は視聴率の低迷が叫ばれていますが、それでもキー各局ゴールデンタイムは10%程度の視聴率を得ています。視聴率1%あたりで約40万人の人が見ているので(参考: Video Research ltd.)、10%でも400万人です。毎日動画が400万再生されていると考えれば大ヒットですよね。このようにテレビはまだまだダントツで視聴数の多いメディアなのです。

ではこれから数年、数十年が経過してテレビの視聴率が5%未満に下がったらどうなるでしょうか。5%の場合視聴数は200万です。動画の視聴数が200万と仮定すれば、現在のはじめしゃちょーなどの人気YouTuberと大差ないレベルです(もちろん媒体が違うのであくまでも目安ですが)。

ここまで下がるとさすがにテレビの雲行きは怪しくなってきます。芸能人というのはあくまでもTVの上で活躍する人たちです。そのため、テレビそのものの視聴数が下がれば、当然芸能人の権威も影響力も失墜するわけです。かつてラジオスターたちが、テレビの登場でその影響力を失ったように、今度はテレビスターたちがネットの登場でその影響力を失う時代が来ているのです。

数年後の子どもたちにタモリって誰?さんまって誰?松本人志って誰?と言われる時代も近づいています。代わりにヒカキンやはじめしゃちょーが彼らにとってのタモリやさんまになるのです。「そんなバカな」と思うかもしれませんが、実際に数字を見ていけば十分にあり得る話なのです。

はじめしゃちょーのフォロワー数はりゅうちぇるの2倍以上

もしもタレントの人気度を測る指標の一つがツイッターのフォロワー数であるなら、はじめしゃちょーやヒカキンの人気はほとんどのテレビタレントを上回ることになります。

はじめしゃちょーのツイッターフォロワー数ランキングは日本5位の280万人(17年1月現在)で、ヒカキンは34位で180万人です。これはテレビに出演しているほとんどのお笑い芸人やモデル、歌手などを上回っています

一方で2016年に大ブレイクし、毎日テレビ出演を果たし、若者から絶大な支持を集めている(と言われている)りゅうちぇるのフォロワーは99万人。全くテレビ出演していないはじめしゃちょーの半分未満です。もはやテレビタレントの影響力は昔ほど高くはない、ということなのかもしれませんね。

ネットの世界は実力主義

従来であれば、極端な話で実力のない人間でもコネや事務所のゴリ押しでテレビに出演することが可能でした。

実際にそのようなかたちで今もテレビ出演を果たしているタレントは多いと思います。ところがネットの時代は完全に実力主義です。どれだけコネや事務所の力を使って動画の再生回数などを水増ししても、本人のコンテンツがつまらなければやがて誰も見なくなります

例えばYouTuberのマスオTVという人は、ヒカキンの幼馴染としてUUUM(YouTubeで一番大きい事務所)から堂々のデビューを果たしました。デビュー当初こそそれなりに人気を集めましたが、現在は平均的な再生回数が5万回を下回っています。

このようにネットの世界は誤魔化しのきかない実力主義のようです。

いつの時代もおごりや傲慢が衰退を招く

芸能界におけるピラミッド構造みたいなものは、テレビ視聴者の我々もなんとなく知っていますよね。

誰が偉くて権力を持っているというものです。これがそもそもおかしな話なのです。作り手側の都合をなんで見る人が知っているのでしょうか。

ハリウッド映画の裏側がどうなってるかなんて、映画を見てるだけではわかりませんよね。この背景には日本のテレビ業界、芸能界の間違った支配があるのではないでしょうか。人は権力を手にすると調子に乗ってしまいます。その成れの果てが今の芸能界ではないでしょうか。

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最後に

10年以上前は、漫才師がとても人気を集めていました。チュートリアルやフットボールアワー、タカアンドトシ、ブラックマヨネーズがブレイクしたのは彼らが20代の頃でした。当時の若者に漫才師が支持されたため、ブレイクしたのです。

ところが今はどうでしょうか。今テレビでブレイクしている20代のお笑い芸人がどれくらいいるでしょうか。今若者が支持しているのはYouTuberです。17年1月現在チャンネル登録者数が100万人を超える日本のYouTuberは20人近くに増えました。2012年頃は1人もいなかったことを考えると、とんでもない成長率です。YouTuberの数も視聴者数も年々勢いを増しています。YouTubeの視聴数がテレビを超える日はそう遠くはないかもしれません。

これまでの人類の歴史の中で、「新しいメディアの登場で古いメディアが衰退する」ということが繰り返されてきました。かつて人々がラジオの前に集まって熱狂していた時代から、戦後はテレビがその役割に取って代わり、そして今はインターネット(スマホ)に若者たちは夢中になっています。

もちろん逆に言えば、およそ50年後にはインターネットに代わる新しいメディアが登場しているのかもしれませんし、YouTuberも数年、数十年後にはオワコンになっている可能性もあります。

大切なのは、いつの時も「時代は変わる」ということです。ダーウィンの言葉を借りると、「生き残るのは強い者でも賢い者でもなく、変化に適応した者のみである」ということなのです。

皆さんも固定観念や古い慣習に囚われずに、常に変化に適応しながら生きていきましょう。