結婚式も葬式も将来性なし!? 2030年以降に破綻か

冠婚葬祭の中で特にお金がかかるのが「結婚式」と「葬式」ですよね。

そしてこれらには、どちらにも共通することがあります。それは「本人がお金を出さない」ということです。

もちろん結婚式の費用は新郎新婦が自ら出す人もいますが、全額負担する人は圧倒的に少ないようです。そして葬式の費用を出しているのは、一般的に亡くなった人の子どもたちです。もちろん親が遺産を残してくれている場合もありますが、遺産を葬式代にあてるのは相続の関係でとてもややこしいようです。

このように「結婚式」と「葬式」は一般的に本人がお金を出さないものであって、かつどちらも大金がかかります

ミレニアル世代はお金がないのになぜ派手婚!?


2010年代は、80年〜90年代に生まれたミレニアル世代が続々と結婚する時期でした。この時期からなぜか、大人数を呼んで盛大に式を挙げる「派手婚」という言葉が復活しました。2016年の結婚式費用の平均額は359.7万円(参考: ゼクシィ)です。

あれ?おかしいですよね、ミレニアル世代といえば、所得が少なく貯金もほとんどない世代です。なのになぜ派手婚を挙げることができるのでしょうか。

その答えは彼らの親にあります。ミレニアル世代の親は、おおむねバブル世代です。そしてバブル世代はお金を持っています。だから派手な結婚式を挙げることができるのです。

バブルより上の世代はお金持ち!?


50代(バブル世代)の平均貯蓄額は800万円、60代(団塊世代)の平均貯蓄額は1342万円のようです(参考: 2015年家計調査結果(総務省))。そして40代(氷河期世代)になるとガクッと下がって490万円になります。

これはもちろん、年功序列なので歳をとるほど所得が増えることも関係しています。そして60代の貯金額が多いのは退職金をもらっているからでしょう。

しかし、今の40代の貯蓄額が、10年後に今のバブル世代と同じ水準になることは考えにくいです。実際に40代の平均貯金額は10年前よりも大幅に減少しているので、これは年齢の問題ではなく、世代の問題であると考えることができます。

つまりバブル世代より上の世代はお金持ちで、氷河期世代より下の世代はお金がないということです。

ジェネレーションZ(氷河期ジュニア)は結婚式を挙げることができない!?


ではミレニアル世代の次の世代である、2000年代以降生まれのジェネレーションZの結婚式はどうなるでしょうか。

ジェネレーションZの親はおおむね氷河期世代です。氷河期世代は就職時に大不況を経験しています。そのため、団塊やバブルと違って彼らはお金を持っていません。そういう理由から、氷河期世代は子どものために派手な結婚式を挙げてやることはできないのです。

それに加えて、「結婚式に大金をかけるなら、違うことに使った方がいい」という氷河期世代の節約マインドも影響してくるでしょう。今の小中高生にあたるジェネレーションZが結婚を始める2030年(平均結婚年齢を30歳とした場合)以降は、「派手婚」は今より大幅に減少し、結婚式のビジネスモデルが破綻を始める可能性があります。

団塊の世代は地味な葬式になる!?


結婚式の次は葬式です。氷河期世代の親である団塊世代が亡くなったとき、果たして従来のような盛大な葬式を挙げてあげることができるでしょうか。それは難しいかもしれません。

葬式には平均189万円かかると言われています(参考: 日本消費者協会)いったいどこにそんなお金があるのでしょうか。しかも両親がなくなれば2人分の378万円が必要になります。

おそらく団塊世代の葬式は、規模の小さい家族葬か、それ未満の直葬のみの地味な葬式が主流になる可能性があります。そうなれば、団塊世代が亡くなり始める2030年(平均寿命を80歳とした場合)以降は、現在の葬儀屋のビジネスモデルは破綻する可能性があるということです。

最後に


もちろん今後ビジネスモデルが破綻していく可能性があるのは「結婚式」と「葬式」だけではないでしょう。

現役世代の平均所得の低下や、貯金額の低下に加えて、少子化による人口減少、AIやロボットなどのテクノロジーによる侵食といった様々な要因が、今後ありとあらゆる業界にダメージを与えていくことになります。

大事なのは、今好調だからといって後先考えずに安易な投資をしてはいけないということです結婚式も葬式も、どちらも今は高い業績を上げている業界です。そのため、街には新しい結婚式場や葬儀場がバンバン建ち始めています。これが約10年後には深刻なダメージとなって返ってくるかもしれないということです。

もし投資をするのではあれば、今現在好調なものではなく、10年後、20年後に伸びてくる可能性があるものに絞るべきです。ただしそれを予測するのはとても難しいことなのですが。