遂に空飛ぶ車が登場する!? ウーバーが開発に着手

「空飛ぶ車」といえば、人類が20世紀から夢見ている究極の乗り物です。ところが、その夢は21世紀になった今でもまだ実現に至っていません。そんな中、遂に空飛ぶ車を開発しようという動きが出てきたのです。それに取り組んでいるのは、皆さんご存知の配車サービスを手がける「ウーバー (Uber)」です。ウーバーはこの度「ウーバー・エレベート」という航空部門を新たにスタートさせました(参考: ブルームバーグ)。この新しい部門で空飛ぶ車の開発を行うとみられています。そしてその部門を支えるのが、「マーク・ムーア」という人物です。マーク・ムーアさんはNASAで勤務していたエンジニアであると同時に、「空飛ぶ車」を実現させるための白書も発表していた、いわば空飛ぶ車構想の第一人者でもあるのです。ウーバーはムーアさんを迎え入れ、この「未来の技術」に投資する考えのようです。

マーク・ムーアとは


マーク・ムーアさんは1985年にNASAに入社し、最近までラングレー研究所で上級エンジニアを務めていた超エリートの方です。ムーアさんは2003年にすでに空飛ぶ車の構想を考えていて、ホワイトペーパーを発表しています(参考: Personal Air Vehicles)。その後も電気飛行機の構想を膨らませ、グーグルのラリー・ペイジなどに影響を与えたそうです。そしてウーバー(Uber)は2016年10月に空飛ぶ車の構想を描いたホワイトペーパーを発表しました(参考: Uber Elevate)。そのときウーバーはムーアさんに助言を求め、ムーアさんの側もウーバーのヴィジョンに感化されたそうです。そこでその後2017年2月からは、マーク・ムーアさんは正式にウーバーへ転職し、そこの航空部門のエンジニアリング・ディレクターとして働き始めています。これから彼が何を生み出すのか、世界中が注目しているわけです。

空飛ぶ車は実現するのか


では実際に空飛ぶ車の実現は可能なのかということが最大の疑問ですよね。実は空飛ぶ車の開発に着手しているのはウーバーだけではなく、「ジー・エアロ (Zee Aero)」や「Kitty Hawk (キティ・ホーク)」といったスタートアップも行っています。この2社にはラリー・ペイジが出資を行なっているそうです。そしてウーバーやこれらの会社が目指しているのは、ムーアの提唱する「垂直離陸着陸機 (VTOL)」と呼ばれるもので、動力源に電気を使った静音で小型、安全な乗り物のようです。

今までの飛行機は離陸のために長い滑走路が必要でしたが、VTOLはヘリコプターのように垂直に離陸することが可能なようです(上の動画は垂直離陸ではありませんが)。そしてウーバーが考えているのはバック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンのように一般道から上空に飛び立つのではなく、専用の飛行場まではウーバーなどの車で行って、そこから空飛ぶ車に乗って離陸し、目的地に近い飛行場で着陸になるとのことです(参考: NewsPicks)。空飛ぶ車というよりは飛行機とヘリコバクターのいいとこ取りのような考えに近いかもしれません。これはあくまでも現時点における考えのようなので、実用化される時にはどうなるかはわかりません。また、現状ではバッテリー持続問題などの技術的課題もあるようです。

最後に


近年はようやく自動運転車が盛り上がりを見せ始め、その実用化に向けて動いているところでした。ところが時代の最先端をいく技術者・科学者たちにとっては地上を走る自動運転車などもう”古いもの”なのかもしれませんね。もし空飛ぶ車の開発が成功すれば、従来の車は色あせて見えるかもしれません。しかも障害物の少ない空中なら、自動運転技術の開発も地上向けのものよりはるかに簡単なはずです。おそらく2、3年後には完全な自動運転車の一般発売がニュースを騒がせることになると思います。ところが、その頃には”空飛ぶ車”の開発も着々と成功し、さらに私たちを驚かせることになるかもしれません。マーク・ムーアさんはNASAから貰えるはずだった莫大な年金を捨て、ウーバーに転職したそうです(参考: Wired)。彼をそこまで突き動かすほどに、この空飛ぶ車の実現には未来への夢が詰まっているのかもしれません。もしかしたら10年後には人類が夢にまで見た”空飛ぶ車”が上空を飛び回っている光景を見ることができるのかもしれませんね。