スティーブ・ジョブズが映画「インサイド・ヘッド」に出演していた!?

今回は映画に登場するちょっとした小ネタをご紹介します。紹介する映画は2015年に公開されたピクサー作品の「インサイド・ヘッド (Inside Out)」です。実はこのインサイド・ヘッドの中に、あの「スティーブ・ジョブズ」が登場しているのです。…とはいっても、本人が出てくるわけではありません(笑)。登場するのはジョブズファンなら誰もが知っているであろう、「現実歪曲フィールド」です。この現実歪曲フィールドがこっそり劇中に登場するのですが、もはやマニアックすぎてほとんどの人は完全スルーしていると思います。今回はこのような「ピクサー作品」と「現実歪曲フィールド」の関係についてご紹介します。

現実歪曲フィールドとは?


現実歪曲フィールド(Reality distortion field)とは、スティーブ・ジョブズが持っていたとされる、「魔法のような力」のことで、この現実歪曲フィールドの前では白は黒に変わり、0は1になってしまうようです。簡単な例をあげると、ジョブズのプレゼンを見た人はほぼ間違いなくジョブズの考えに納得させられ、魅了され、そしてアップルの製品が欲しくなってしまいます(笑)。これは観客がジョブズの現実歪曲フィールドにかかっているからです。そしてこの力が発揮されるのはプレゼンだけではありません。社内や社外の交渉においても、ジョブズの現実歪曲フィールドは多くの人を動かしてきたようです。時には良い方向ばかりではなく、間違った方向に現実が歪曲されてしまうこともあったかもしれませんが、その力の凄まじさは本物です。ジョブズの伝記本にもたびたび「現実歪曲フィールド」のエピソードが登場するので、興味のある人は見てみてください。

インサイド・ヘッドの「現実歪曲フィルター」


そして映画「インサイド・ヘッド」に登場するのは、この現実歪曲フィールドをパロティにしたと思われる、「現実歪曲フィルター (Reality distortion filter)」(上の動画の1:46頃)です。劇中ではこの現実歪曲フィルターを通すと、人物や風景が全く違って見えるというシーンでした。これはおそらくピクサースタッフの遊び心だと思います。といのも、ピクサーとジョブズの関係はとても深く、ジョブズなしには今のピクサーは存在し得ないものでした。ご存知の方も多いと思いますが、ジョブズはピクサーの実質的な創業者であり、1作目のトイ・ストーリーはジョブズが自腹を切って制作されたものです。世界で初めてとなるフルCGの長編映画をつくるのは並大抵ではなかったはずです。当時を知るピクサースタッフは、良くも悪くもジョブズの「現実歪曲フィールド」のお世話になったことでしょう。その敬意を込めて、劇中にちょっとしたお遊びとして登場させたのかもしれませんね。ちなみにピクサーとジョブズの関係は、「ピクサー流 創造する力」という本に詳しく書かれています。気になった方はぜひチェックしてみてください。

最後に


ジョブズの与えた功績は計り知れません。2007年に発売されたiPhoneは10年経った今でもアップルの収益の半数以上を稼ぐ主力製品であり、アップルを時価総額世界一に留めている最重要事業でもあります。また、今のタッチディスプレイを用いた「スマートフォン」の概念そのものを考え出したのは他でもないジョブズのチームですし、そのスマートフォンはパソコンの普及台数をはるかに超える勢いで世界中に普及しています。さらにピクサーのトイ・ストーリーから始まった「CGアニメ」という新しいジャンルは、今では世界のアニメ映画のスタンダードになりつつあります。もはやディズニーの新作が従来の2Dで制作されることもなくなり、3D一本に絞られ、ベイマックスやズートピアといった大傑作を世に送り出してきたのです。そんなジョブズの素晴らしい功績を支えたのは、彼の持つ「現実歪曲フィールド」が一役買っているのは間違いありません。どれだけ素晴らしいアイデアがあっても、まずは相手を説得し納得してもらわないと始まらないものです。数字や結果といった「事実」も大事ですが、まずは情熱や思いといった「気持ち」から、人は動かされていくのかもしれませんね。