ヴォーグモデルが日本文化盗用で炎上?問題点は

スマホとSNSが普及してからというもの、毎日世界のどこかで起きている「炎上」ですが、今回は少し考えさせられる内容のものをご紹介します。今回発火があったのはアメリカの超有名ファッション誌「ヴォーグ (VOGUE)」でモデルを務める「カーリー・クロス」さんのとある写真です。写真はヴォーグに掲載されたものですが、その内容は日本の伝統的な衣装や建物を舞台に撮ったものです。少し中国が混じっているところもありますが、全体的には西洋人と日本文化の融合という感じでかっこよく仕上がっているように感じます。いったいこの写真の何がまずかったのでしょうか。

文化の盗用とは?


今回カーリーさんが炎上した理由は、カーリーさんがアメリカ国籍でアジア系ではないからだそうです。つまり縁もゆかりもない文化を勝手に使うことは盗みであり、いわゆる「文化の盗用」にあたるんだそうです。この写真を見た私たち日本人からすれば、「むしろ日本文化を使ってくれてくれてありがとう」という気持ちなのですが、不快感を感じた人もいるのでしょうか。これはよくありがちなハリウッド映画のおかしな日本文化と違って、きちんとしたかっこいい写真です。少なくとも等の私たち日本人は「日本の文化を盗まれた!」などと感じていないと思うのですが、アメリカでは問題になるのでしょうか。この騒動を受けてカーリーさんは以下のように謝罪しているようです(参考: HUFFINGTON POST JAPAN)。。

この作品は私のものではない文化を盗用したものでした。このような、文化をきちんと取り扱わない撮影に参加したことを心から申し訳ないと思っています。私の目標は、常に、女性たちを力づけ、インスパイアすることです。私は今後の撮影や企画では、こうした目的から絶対に逸脱しません。

もちろん、当の私たちはそこまで気にしていないので、「不快に感じることはなかった」「謝らないで」と擁護する日本人のコメントもあるそうです。

炎上の基準は国や文化によって違う?


今回の件は日本人から見ればそれほど大問題であるとは思えません。ところが「文化の盗用」はアメリカではとてもシビアな問題のようです。文化や宗教には伝統的な背景があるのにも関わらず、それをろくに理解せずにトレンドに利用するという行為は「盗み」にあたるそうです。実際に過去にニュージーランドのマオリ族やネイティブアメリカンが文化を盗まれたとして抗議したことがあったそうです。こう考えると、日本人は割と文化の許容については寛容なのかもしれませんね。実際に日本人は慣習から食事まで伝統的な日本文化からだんだん離れていますし、結婚式はキリスト式で、葬式は仏式という文化の入り乱れも起きています。もちろん背景には、戦後アメリカに伝統的な文化を壊されたということが関係していますが、もう日本人はそのことすら忘れています。

最後に


今回の一件で、炎上の基準は国や文化によって大きく変わるということが分かりました。逆に言えば、日本で炎上している問題も、欧米から見ればたいしたことないことも多いのかもしれませんね。日本では不正や不倫、軽犯罪など、「常識」にそれることをすると大炎上します。ところが欧米では誰それが不倫をして大炎上したという話はあまり聞きません。もしかしたら向こうの人たちから見れば、「なんでそんなことで大騒ぎしてるの?」と思われているのかもしれません。ちょうど今回の件の逆パターンのようにです。そう考えれば「常識」なんてものは存在しないのかもしれません。むしろ常識に固執している人は多様性や文化の違いを見落しがちな危ない人であって、世界からみれば「非常識な人」である可能性があります。現代を生きる私たちは常に柔軟に、変わり続ける世界の文化の違いを学びながら生きていかないといけないのかもしれませんね。