祝アカデミー!ネットフリックス「ホワイト・ヘルメット」を見よう!

2017年2月26日、アメリカロサンゼルスで第89回アカデミー賞の発表がありました。今年は”誤発表の件”が何かと話題になっていますが、その影で「ネットフリックスオリジナル作品」が初のオスカーに輝きました。見事に「短編ドキュメンタリー賞」を受賞したのは、「ホワイト・ヘルメット」という作品です(参考: ロイター)。今回はそんなネットフリックスオリジナル作品、「ホワイト・ヘルメット」についてご紹介します。

ホワイト・ヘルメットとは?

「ホワイト・ヘルメット」とは、シリア内戦において犠牲者の救助や治療、埋葬を行う「ボランティア団体」のことです。彼らは”中立”の立場を貫き、いかなる政党や組織にも属さず、敵味方関係なく内戦の犠牲になった市民たちを平等に救出することを目的に活動しています。ホワイト・ヘルメットのメンバーは元々救助のプロフェッショナル等ではなく、元は建築作業員や鍛治工などの職についていたものが志願して参加し、訓練を受けて戦地に乗り込んでいるようです。当然現地の爆撃に巻き込まれて亡くなる隊員も少なくなく、彼らは文字通り命をかけて救助活動に励んでいるようです。彼らは6万人以上の民間人を救出したと言われており、その勇姿はまさに賞賛に値します。

ドキュメンタリーの見どころ

ネットフリックスのオリジナル作品で描かれるのは、そんな「ホワイト・ヘルメット」の勇姿を追った40分のドキュメンタリー映画です。映画では実際にシリア内戦にカメラが乗り込み、ホワイト・ヘルメットのメンバーとともに、民間人の救出活動を行います。仲間の隊員が爆撃で殺されるなどのあまりにも残酷な現実と戦いながらも、ホワイト・ヘルメットの隊員たちは救出活動を続けます。特に印象的なのは、空爆を受け瓦礫の下敷きになった建物の中から生後間も無い赤ん坊を救出するシーンです。「奇跡の赤ちゃん」と呼ばれるその子を隊員たちは見事に救い出すことに成功します。まさに「ホワイト・ヘルメット」は、シリア内戦の”リアル”が描かれたドキュメンタリーと言えるでしょう。

批判の声も?

このホワイト・ヘルメットを巡っては、賞賛の声だけではなく批判の声も上がっているようです。というのも、彼らは「中立」や「不偏」を掲げて活躍しているものの、その背後には欧米諸国が資金供与している疑いがあるとのことです(参考: Newsweek)。なんでもホワイト・ヘルメットの創設者がイギリス人の方なのですが、その人が立ち上げた別のNGO団体を経由してホワイト・ヘルメットに資金が供与されているそうです。他の企業やNGOからも支援を受けているとのことで、「中立」が守られていないのではないかと批判を受けているとのことです。他にも被害写真を「ねつ造」するなどの疑惑が上がっているそうですが、彼らが多くの命を救助したのは紛れも無い「事実」です。そこは忘れないようにしましょう。

最後に

動画配信サービスを手がける「ネットフリックス」の作品がオスカーを手にしたのは、一つの時代の転機と言えるかもしれませんね。これまで新参者であった「インターネットの動画配信」というものが、一つのメディアとして認められた歴史的瞬間であると言えるのかもしれません。実は今年のアカデミー賞は、アマゾンプライムビデオのオリジナル作品である「セールスマン」が「外国語映画賞」を受賞しています。なんと動画配信サービスのオリジナル作品が2つ受賞するという、動画配信の元年とも言える年だったのです。これからの時代はネットフリックスやアマゾンのようなネット動画のサービスが、メディアを動かしていくのかもしれませんね。

Netfilxで「ホワイト・ヘルメット」を観よう