「クラウド依存」時代の危険性。アマゾンのAWSダウンによって再認識か

今や「クラウド」は私たちの生活に欠かせないものになりました。クラウドは単に写真を預ける場所ではなく、あらゆるアプリやウェブサービス、そしてIoT機器のデータセンターとして機能しています。もし、そんなクラウドがダウンしたらどうなってしまうでしょうか。

2017年2月28日、アマゾンの運営する超巨大クラウドサービスである「AWS (アマゾン・ウェブ・サービス)」の一部である「S3」というサーバーがダウンしたとアメリカ国内で騒ぎになったようです(参考: TechCrunch Japan)。このS3には14万のウェブサイトや多くのアプリ、IoTデバイスなどが利用していたそうで、それらが完全に機能停止してしまったようです。

データセンターダウンの原因は?


AWSのS3がダウンしたのは、バージニア州アッシュバーン地区におけるデータセンターに何らかの原因があったためとされています(参考: ThunderEyes)。アマゾンは「根本的な原因を発見した」と述べているものの、それ以上の詳細は今のところ公開されていないようです。3月1日現在、オブジェクトの修復は完了したそうですが、まだ影響は残っているようです。

クラウド依存時代のリスク


今回の一件は世界中で話題になっているようです。それまで安全と思われていたAWSが突然ダウンしたことで、クラウドの安全性について再度考える機会になったのかもしれません。クラウドという言葉を聞くと、まるで雲の上の存在かのような錯覚をしますが、実態は地上のどこかにあるデータセンターを運用しているにすぎません。今の時代はほとんどのデータをAWSのようなクラウドに預けています。もはやクラウドなしでは利用できないウェブサイトやサービス、アプリ、デバイスなどが数多くあります。クラウドとは、巨大な道路のようなものです。道路が閉鎖されて通れなくなると、あらゆる物流が停止してしまうのです。

IoT時代はますますクラウド依存に?


そしてこれからやってくるIoT(モノのインターネット化)の時代において、クラウドは今以上に重要なものになるでしょう。家の中のあらゆる電子機器はインターネット接続されるようになり、街の道路や信号、公共交通までもがインターネット接続され、クラウドでデータの出し入れをするようになります。つまり、もし一度でもクラウドがダウンしてしまえば、街中の機能が停止し、最悪の場合は人の生死を左右することにもなりかねないのです。これからはクラウドによる災害が社会問題となる日が来るのかもしれません。

最後に


今回のAWSがダウンした件は、多くのユーザーがウェブサイトやウェブサービスなどにアクセスできないなどの被害をもたらしました。これは今の時代だからこの程度の被害で済んだと考えるべきです。幸いにもAWSがダウンしたせいで誰かが亡くなったというニュースはありません。おそらく10年後に同様のトラブルが起きた時は、取り返しのつかないほど甚大な被害をもたらすことになるでしょう。それほどクラウドは人々の暮らしの根幹を担っていくと想定されています。もちろんリスクがあるからと言って、世のクラウド化の流れを止めることもできません。大切なことは、クラウドのことを徹底的に調べ上げ、ダウンする確率を限りなくゼロに近づけることではないでしょうか。