「Echo Look (エコールック)」でアマゾンは何を目指すのか?

アマゾンの「Echo(エコー)」といえば、年末商戦の記録を塗り替えるなど今乗りに乗っている大ヒット商品です。

そんなEchoシリーズの新モデルとなる「Echo Look (エコールック)」が4月26日に発表されました。

新しいエコールックには新たにカメラが搭載され、写真や動画の撮影をしたり、あなたのファッションチェックをしてくれるようです。果たしてアマゾンはこの新しいエコールックで何を目指しているのでしょうか。

Echo Lookの主な機能

まずはエコールックの主な機能を見ていきましょう。エコールックはエコーと同様に「アレクサ」を使って音声でコントロールします。

エコールックの新たな機能は、写真と動画の撮影です。あなたはお気に入りの服に身を包んで、アレクサに写真を撮ってと頼むだけでいいのです。

もちろんこれで終わりではありません。専用の「Style Check(スタイルチェック)」というアプリを使って、撮影した写真を元にファッションチェックができるのです。そうやって「こっちのコーデの方がイケている」といったアドバイスを、AIやアドバイザーから受け取ることができます。

オシャレに敏感な人にとっては欠かせないアイテムになりますし、そうでない人にとってもファッションに興味を持つきっかけになるかもしれません。

特に写真(自撮り)が大好きな若い女性にエコールックは爆発的にヒットする可能性があります。

ファッションとテクノロジーの融合?

ではなぜアマゾンがカメラ付きのエコーを発売するのでしょうか。おそらく一番の理由はアマゾンで服を買わせるためだと思います。

エコールックを通して、あらゆるユーザーに自身のファッションに関心を持つ機会を与え、AIやアドバイザーの意見を聞かせます。

すると、ユーザーはおのずと別のコーディネートを試したくなって、新しい服が欲しくなるはずです。

アマゾンがあなたの写真データをもとに、「こちらの服がオススメです」なんてリンク付きで購入を誘導してくるかもしれません。

つまり、エコールックの「ファッションチェック機能」は入り口に過ぎず、本当の目的はアマゾンでより服を買ってもらうことにあるのかもしれません。

そしてコーディネート写真のデータを収集する目的もあるでしょう。集めたデータを元に広告を出したりと、ファッションはデータの時代に突入する可能性があります

そして膨大なデータを持つアマゾンには、自然と世界中のアパレルメーカーが集まってくるはずです。このようにしてアマゾンはテクノロジーの力で新たなアパレル産業ビジネスのあり方を開拓しようとしているのかもしれません。

アマゾンの守備範囲が拡大している

アマゾンと言えば、かつては本の販売から始まり、今では日用品や家電、動画配信、生鮮食品の販売まで幅広く手がけています。

そして今度は衣類の販売やファッション面においても販売を拡大するつもりのようです。アマゾンは一体何の会社なのか説明するのが難しくなってきましたが、いずれのサービスも「ショッピングとテクノロジーの融合」を目指している点では共通しているかもしれません。

いずれは生活に必要なものは全てアマゾンのサービスを通さないといけない、というレベルまで守備範囲を広げてくるのかもしれませんね。

後追いをしなくなったアマゾン

アマゾンのハードウェアと言えば、数年前まではKindle FireやFire Phoneなど、アップルやグーグルを後追いするような製品ばかり作っている印象でした。

ところが、「エコー」の登場で状況は一変します。アマゾンはエコーという誰も見たことのオリジナル製品と、カスタマイズ可能な音声アシスタント「アレクサ」という全く新しいプラットフォームを生み出したのです。

そして今回の「エコールック」も誰も見たことがないオリジナル製品です。このように今のアマゾンは他社の後追いをやめ、自ら革新的な製品を生み出せる会社に成長したようです。

セキュリティは大丈夫?

もちろんネット接続されたカメラ搭載端末を部屋に置いておくことは、セキュリティ面で不安が生じます。

実際にTech Crunchの記事では、エコールックのセキュリティに対する懸念が取り上げられています(参考: Tech Crunch Japan)。ノートパソコンのインカメラが簡単にハッキングされるように、エコールックのカメラがハックされる危険性はゼロではありません。

一応エコールック本体にはカメラ機能をオフにする電源ボタンが搭載されていますが、何度も使っているといちいちオフにするのも面倒になってくるかもしれません。記事にもありましたが、使っていないときは布を被せるなどの物理的な対策が必要になってくるかもしれません。

▼目に優しい「Kindle Paperwhite」もオススメです

最後に

アマゾンは町の本屋を絶滅に追いやり、日用品や家電販売店にダメージを与え、最近では生鮮食品を販売するスーパーや、コンビニまでにも侵食してきています。

そしてアマゾンが次に狙っているのは、「アパレル産業」です。これまでショップ店員に求めていたアドバイスを、オンラインで完結できるように企んでいるのです。

今は持っている服をファッションチェックすることしかできませんが、いずれはオンラインで服の試着ができるように計画しているかもしれません。

もしそうなれば、まるでネットフリックスで映画を選ぶような感覚で、オンラインで自分に合った服を選べる時代がやってくるのでしょうか。アマゾンがこれからどんなことをやってくれるのかとても楽しみですね。