EV時代到来!日本車は「ハイブリッド依存」で衰退するのか

4月19日に中国にて上海自動車ショーが開催されました(参考: 日本経済新聞)。世界18カ国の1千社以上のメーカーが参加した今回の展示会で注目を集めたのは、何と言っても「EV(電気自動車)」でした。今回のショーでは159種類の新エネルギー車が展示され、内96車種が中国メーカーによるものだったそうです。

EV開発が活発な中国

中国では政府の支援策もあって、2014年頃からEV開発が急速に進んでいます。この背景には、中国で深刻になっている「大気汚染問題」がありました。中国政府は一刻も早く大気汚染を解消するために、EVのような新エネルギー車に対して大規模な補助金の提供を始めたのです。この政策が功を奏して、今中国では「車を買うならガソリン車やハイブリッドではなく、絶対にEVにする」という風潮が高まっています。まさに「EVファースト」の波が押し寄せているのです(参考: WEDGE Infinity)。

EVに出遅れた日本

「エコカー」といえば、トヨタのプリウスのように日本車が得意とする分野です。ところが、プリウスタイプのハイブリッド車は中国では新エネルギー車とは認められず、補助金が降りないという問題に直面しています。世界最大の自動車市場である中国でシェアを取るためには、「EV」の開発が絶対条件なのです。そこでホンダは急ピッチで開発を進め、新たに中国でEVを2018年に発売すると発表しました(参考: 日本経済新聞)。このように日本勢は日産を除いてはEVの開発に出遅れている感が否めません。新たな発売を控えているテスラモデル3が大注目を集めていることを考えても、これから2020年代においては「EV」が世界の自動車産業のスタンダードになることは間違いなさそうです。

日本車はガラケーの二の舞になるか

かつて時代に乗り遅れて失敗した例として、「ガラケー」がありました。ガラケーは2000年代に勢いをつけ、独自の進化を繰り返していたのですが、2008年に上陸した「iPhone」によって駆逐されることになります。この「ガラケー」と「ハイブリッド車」は非常によく似ているところがあります。どちらもモノとしては優れているのですが、先見の明がなかったのです。結果的にガラケー時代は10社以上あった日本の携帯電話メーカーも、スマホ時代にはソニーとシャープと富士通しか生き残っていません。今の日本の自動車メーカーは8社ですが、EV時代に生き残れるのは限られてくるかもしれないのです。

最後に

世界最大の販売台数を誇るドイツのVW(フォルクスワーゲン)は、2025年には世界で販売する100万台のEVの内6割を中国に振り分けるとしています(参考: 日本経済新聞)。VWはディーゼル車で不正問題があったため、いち早くEVへの舵取りができたのかもしれません。中国の自動車市場は成長を続けていて、すでにアメリカをも上回っています。まさに「中国を制するものは世界を制する」と言っても過言ではない状況なのです。日本メーカーは優れた車を作りますが、ハイブリッド車での成功に依存し、EVの開発を怠ったことで衰退するかもしれません。いつの時代も「変化に適応できないと生き残れない」ということのようです、