「micro(マイクロ)LED」とは?OLEDとの次世代ディスプレイ戦争開幕?

次世代ディスプレイといえば、「有機EL(OLED)ディスプレイ」がとても注目されています。

OLEDは薄く、曲げられるほど柔軟で、液晶よりも消費電力が低く画質も良いという理由からスマートフォンや大型テレビへの採用が進んでいるようです。

そんなOLEDの普及に待ったをかけるが「microLED(マイクロエルイーディー)」です。

今後は、microLEDとOLEDの次世代ディスプレイ戦争が勃発するのかもしれません。

microLEDとは

microLED(mLED)」とは、ディスプレイの個々のピクセルに微細なLEDを高密度に敷き詰めることで、LEDによる素子そのものを発光させる技術のことです(参考: 意外に期待できる? マイクロLEDディスプレー)。

これまでのバックライトを持つ液晶ディスプレイとは違って、ピクセル自体が発光するため液晶の弱点であったムラをなくし、高いコントラストと視野角を実現できるそうです。

おまけに液晶と比べて消費電力を大幅にカットできるのも魅力で、詳しいデータはありませんがOLEDと同等か、それ以上の低消費電力を実現できると言われています。

このmicroLEDは次世代のApple Watchに採用されるのではという噂も出ており(参考: Samsung、LGピンチ?Appleがmicro LEDを独自開発、来年に量産か)、まさにmLEDは次世代ディスプレイとしてOLEDと真っ向から対立を始める姿勢なのです。

microLEDとOLEDのシェア争い始まる?

かつての液晶とプラズマのように、mLEDとOLEDによる、次世代ディスプレイのシェア争いが始まるかもしれません。

現状はmicroLEDを採用したディスプレイはまだ世に登場しておらず、OLEDに遅れを取っています(追記: 18.2.5: サムスンがmicroLEDテレビを発表しました 参考:サムスンが146インチの「microLEDテレビ」を発表!新時代到来?)。

ところが、それも数年で追いつけるほどのポテンシャルがmicroLEDにはあるようです。

microLEDは画質面ではOLEDに負けるかもしれませんが、生産性や耐久性、明るさ、薄さの面でアドバンテージがあります(参考: Samsung、LGピンチ?Appleがmicro LEDを独自開発、来年に量産か

すでに広く普及しているLED技術をベースに用いるので、量産体制が整いやすくてコストも安く、またOLEDと違って画面焼けがなくて経年劣化が少ない上に、OLEDの苦手とする明るい表示も得意です。

そして何よりOLEDよりも更に薄いのでスマートウォッチやスマホなどの小型デバイスにどんどん採用される可能性が高いのです。

そのため、今はOLEDが優勢ですが数年後には両者のシェアはどうなっているのか分からない状態なのです。

microLEDの健康問題は?

microLEDは所詮は「LED」なので、現在のLED液晶が抱えているブルーライトによる「目に悪い」という問題をクリアすることはできないかもしれません。

そのため、microLEDディスプレイを搭載したスマホやテレビが登場して世間を騒がせるようになっても、OLEDディスプレイのものとどちらを選ぶかは冷静に考えた方がいいかもしれません。

microLEDが実際に人体に悪い影響を与えるかどうかは、まだ実物が登場していないので何とも言えません。もしかするとピクセル単位で光るようになっている分だけ、LED液晶ディスプレイよりも目へのダメージは減っているかもしれません。

逆にLEDそのものがダイレクトに発光することで健康被害は液晶より拡大している可能性もあります。microLEDにはメリットが多いですが、この辺りは今後よく注意した方が良さそうですね。

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最後に

もしも「microLED」と「OLED」のシェア争いが始まった時、どちらが勝つかと聞かれればおそらくmicroLEDが勝つとことになりそうです。

これは液晶とプラズマの関係に似ているのですが、プラズマは自発光のため液晶よりも黒の描写に優れており、LEDを使わない構造上ブルーライトも発しないという技術的優位性がありました。ところが小型化や薄型化が難しかったり、消費電力や生産コストの高さなどが原因で液晶に敗れたのです。

OLEDも技術そのものは優れていますが、量産化が難しいと言われれていますし、コストの面でもmicroLEDには勝てない可能性があります。これらの理由からmicroLEDが次世代ディスプレイとして普及する可能性が高いのです。

かくいう私は生産終了した8年以上前のプラズマテレビを今でも愛用していています。必ずしもシェア争いで勝った方が正しいという訳ではありません。どちらが優れているかはあなた自身の目で選びましょう。