Apple Watchは本当に「失敗」なのか?

Apple Watchは2015年の4月に、世界中から大きすぎる期待を背負って発売されました。その反動からか、発売後には「Apple Watchは失敗だ」、「Apple Watchは売れていない」といったネガティブな意見がネット上に飛び交うことになりました。

しかしながら、2016年には新作の「Series 2」が発売され、完全防水や日本のApple Payに対応するなど着実な進化を遂げています。果たしてApple Watchは本当に失敗なのでしょうか。

今回は客観的な売上と評判をもとに、失敗なのかどうかを見ていこうと思います。

Apple Watchの販売台数は?


まずは失敗か否かを判断する分かりやすい指標である販売台数を見ていきます。

Apple Watchの販売台数ですが、記事執筆時の最も新しいデータによると、2017年1〜3月期の出荷台数が350万台だったそうです(参考: ITmedia)。この数値は2016年比で59%増と成長しており、競合するXiaomiやFitbitなどのウェアラブル端末を上回って首位だったそうです。

もちろんあくまで出荷台数なので、次は販売台数も見ていきましょう。アップルはApple Watchの正確な販売台数を公表していませんが、アナリストの見積もりによると、2016年全体の販売台数はおよそ1,190万台であったそうであったそうです(参考: Fortune)。

もちろんアップルの主力製品であるiPhoneの約2億台やiPadの約4千万台に比べると少ないですが、現在のスマートウォッチやウェアラブル端末の市場規模を考えれば大爆死ということはなく、十分にヒットしているレベルです。

また、Apple Watchの原価率は24%程度と言われているので利益率も高いです(参考: Gigazine)。このように、少なくとも販売台数だけ見れば、決して失敗とは言えません。

Apple Watch利用者の評判は?


次はApple Watchの評判を見ていきましょう。失敗であるならさぞ酷評されているはずです。

ユーザーの正確な満足度を図ることは難しいですが、J.D.Powerの発表によると、Apple Watch利用者のレートは5つで高い満足度を獲得しているそうです(参考: iPhone Mania)。これはサムスンなどのスマートウォッチを手がけるライバル企業を上回っています。

また、価格.comに掲載されている、最新機種であるApple Watch Series 2の23機種のレビューを平均すると「4.36」で、こちらも高い評価を得ています。レビューを見ても、「買わなけりゃよかった」のような購入を後悔するようなネガティブなものは少なく、「Apple Payが便利」、「足りないところはあるが概ね満足」、「今後の進歩に期待」といったポジティブなレビューが見られます。

このように巷で言われているような「Apple Watchは使い物にならないゴミである」といった感想は、一度もApple Watchを使ったことのない者による、全く根拠のない妄想であると言えます。

つまり、評判的にもApple Watchが失敗であることを断定することはてきません。

iPhoneとの比較

では次に、Apple WatchとiPhoneの歴代の販売台数と比較していきたいと思います。Apple Watchが失敗なら、iPhoneよりはるかに少ないはずです。

iPhoneは今でこそ年間2億台以上を売り上げるモンスター商品ですが、発売当初は違っていました。歴代のiPhoneの販売台数を見ると、2007年に登場した初代iPhoneは約370万台、2008年の2世代目iPhone3Gは約940万台、2009年の3世代目のiPhone3GSは約2,300万台、2010年の4世代目のiPhone4は約4,700万台となっています(参考: モバイル生活)。

このように、iPhoneは発売当初はそれほどヒットしていませんでした。実際に2008年頃のネット上では、「iPhoneは失敗だ」、「iPhoneは売れない」、「iPhoneが失敗した〜つの理由」といった投稿で溢れていました。ところが、3世代目の「iPhone3GS」から突然火がつき、そこからは現在のような爆発的に売れるモンスター商品になりました。

これらiPhoneの販売台数と、今の2世代目までのApple Watchの販売台数を見ると、Apple Watchは当時のiPhoneよりも多く売れています。もちろん、「Apple Watchは今がピークでこれ以上は売れない」という考え方もできますが、逆に次の第3世代Apple Watchから突然火がついて売れ始める可能性もあるのです。

つまり、Apple Watchがこれからどうなるかは、現時点ではまだ分からないのです。少なくとも次の第3世代目、第4世代目がどうなるのかを見た上でないと、「失敗の判」を押すことはできないでしょう。

最後に

このようにApple Watchを客観的な数値から見ると、十分に成功作であり、ヒット商品であると言えます

しかしながら、「アップル」という看板を背負う以上は、年間1,000万台ぽっちの売上では少なすぎるのかもしれません。つまり、大成功以外は失敗と判断されても仕方ないのでしょうか。

Apple WatchはiPad以来の5年ぶりの新製品としてデビューしたので、投資家やアナリスト、そしてユーザーからの期待値はとても高いものになっていました。発売前は年間3,000万台は売り上げると予想されていたほどです。

しかしながら、iPhoneも発売当初は年間1,000万台も売れておらず、本格的に売れ始めたのは3世代目の「iPhone3GS」からです。Apple Watchも2017年にちょうど3世代目が発売される予定です。

今後のApple Watchが失敗なのかどうか、先行きを決めるのは、どうやら次の3世代目(Series 3)以降にかかっているといっても過言ではなさそうですね。