「Uber Freight (ウーバー・フレイト)」は何を変えるのか

配車サービスを手がけるUberは、自社の新たなサービスとなる、「Uber Freight (ウーバー・フレイト)」を発表しました(参考: Medium)。これはウーバーの運送版のようなもので、アプリを使って荷物依頼業者(クライアント)と運送屋や個人トラックドライバーを結ぶためのサービスです。アメリカではトラックドライバーと業者とのやりとりが大変面倒で、時間とストレスの溜まるものだそうです。ウーバー・フレイトはそういった問題を解決することに期待されているようです。

Uber Freightとは


「Uber Freight (ウーバー・フレイト)」は、荷物依頼業者(クライアント)と、運送屋・個人トラックドライバーをアプリで結ぶサービスです。アメリカでは、トラックドライバーが30日以上待たないと支払いを受け取れなかったり、10時間以上待たされた上に何の補償もないといった運送業界における問題を抱えているそうです。そんな問題を解消するため、ウーバーが間を取持ち、荷物ごとにドライバーに料金を支払ったり、遅れた期間に応じて追加料金を支払うそうです(参考: HUFFPOST)。ウーバー・フレイトは配車サービスのウーバーのような一般ユーザー向きののサービスではなく、業者とドライバーを結ぶためのサービスです。ウーバー・フレイトに登録できるドライバーは選ばれた有資格者に限られるそうで、誰でも利用できるものではなさそうです。

Uberの目的とは


では、ウーバーは一体なぜこのような事業を始めるのでしょうか。私の予想では、ウーバーは運送業界を牛耳ろうとしているのではないでしょうか。全米のあらゆるクライアントをウーバーが斡旋し、ウーバーなくしては運送はできないという状態を狙っているのかもしれません。しかもウーバーは自社のドライバーやトラックを所持することなくして、実質的に巨大な運送会社になることができます。そのため、面倒なコストを抱えることなく手数料で儲けられるという素晴らしいシステムを構築することになるのです。配車サービスのウーバーはタクシー会社を破滅に追いやりましたが、ウーバー・フレイトもまた、どこかの会社が破滅させることになるのでしょうか。

日本の宅配問題も解消する?


もしもウーバー・フレイトが日本でサービスを開始すれば、現在の日本で問題になっている宅配の人手不足問題は、解消へと向かうのでしょうか。現在公開されている情報によると、ウーバー・フレイトは、基本的に拠点から拠点への荷物の“運送”をサポートするサービスのようで、個人宅へと届ける“宅配”をサポートするかどうかは不明です。こと日本で問題になっているのは、運送よりも宅配の方です。もしもウーバー・フレイトが、ウーバー・イーツ(UberEats)のように個人宅への配達をサポートするなら、これはとても画期的なサービスになるかもしれません。

そもそもウーバー・フレイトが日本でサービス開始するかどうかの情報は今の所不明です。本業のウーバーがいまだに日本では解禁されていないので、日本には上陸しないケースも考えられますし、逆に法的に問題がなければウーバー・イーツのように日本でも利用できる可能性もあります。そうなれば、例えばアマゾンと個人ドライバーがウーバー・フレイトを通して契約をして、個人宅への荷物の配達をサポートするといったことが可能になるかもしれません。現在の宅配業における負荷を軽減させることに期待されるわけです。

最後に


日本とは程度は違えど、運送業界における問題はアメリカも同様に抱えているようですね。一つ心配なのが、ウーバーが本当にトラックドライバーを助ける気があるのかということです。ウーバーは本業の配車サービスの方で、「ドライバーをないがしろにしている」というニュースが何度も飛び交っていました。そのため、今回のウーバー・フレイトも表向きは「トラックドライバーの皆さんのために間を取り持ってあげましょう」と優しい顔をしていますが、実際のところはウーバー同様に途中から手数料を引き上げ、ドライバーを安い賃金で利用して儲けようと企んでいるのかも分かりません。

また、ウーバーはトラック自動運転の「Otto」も準備しています。まずはウーバー・フレイトでクライアントを確保することに専念し、何年か経って、頃合いのいいときにドライバーを切り離して自動運転へ切り替えることも予想されます。ともあれ、ウーバー・フレイトが画期的なサービスであることは事実です。今後の展開がどうなるのか目が離せませんね。