「お金を使わない」の真実!消費が増えない本当の理由とは?

総務省の発表によると、6月の消費者物価指数は前年比0.4%の上昇に留まりました(参考: 消費者物価指数6月は0.4%上昇、携帯下落でプラス幅横ばい=総務省)。

このように少しずつ伸びてはいるものの、株価の上昇や求人の増加に比べて、私たちの消費はなかなか増えないのが現状のようです。これは、依然として私たち消費者の財布の紐が固く、お金を使わないことが原因であると言われています。果たしてこれは本当なのでしょうか。

今回は、「お金を使わない」の真実について見ていこうと思います。消費が増えない本当の理由は、どこにあるのでしょうか。

財布の紐が固くなったのではなく、スルーするようになった?

私たちの消費が伸びないのは、よく財布の紐が固くなったこと、いわゆる「デフレマインド」や「節約志向」が原因であると言われます。果たしてそうでしょうか。実際のところは、財布の紐が固くなったのではなく、スルーするようになったのではないでしょうか。

服はファストファッションで十分ですし、カメラはスマホに付いているので、買わなくても大丈夫です。音楽もYouTubeやスポティファイで無料で聴けるので、CDを買わなくてOKです。映画もアマゾンプライムで見放題なので、DVDは要りません。新聞もネットニュースを無料で見られる時代なので、もっぱら要りません。アルコールは高いし体に悪いので水で十分です。高級腕時計なんて要りません、スマホで十分です。車は持ってなくても生きていけます。

このように、「お金を使いたくない」というよりは、そもそもそれを欲しいと思わなくなったのかもしれません。欲しいけど財布の紐を締めて我慢するというよりも、そもそも「要らないよね?」とスルーするようになったのです。

趣味にはちゃっかりお金を使う?

私たちは車や時計や家を欲しいとは思わなくなったものの、趣味にはちゃっかりお金を使う傾向があるのかもしれません。

音楽が好きな人は、ちゃっかりライブに行きます。旅行が好きな人は、ちゃっかり旅行に行きます。アウトドアが好きな人は、夏も冬もウェーイですし、アップル信者の人は、毎年アップル製品を買います。このように、今までは画一的だったお金の使われ方が、現代では多方面に分散したように思われます。そのため、現代の人は、人によって出費の内訳が大きく異なっている可能性があるのです。

「従来のように消費が伸びないというよりかは、趣味に関係のないこと、興味のないモノはスルーされるようになったという解釈の方が正しいかもしれないのです。今でも写真や動画が好きな人はカメラを買いますし、ゲームが好きな人はゲーム機を買います。お酒が好きな人は毎晩飲み歩いているかもしれません。

このように、今まではミーハーだった層が興味を失ってスルーするようになり、本当にそれを好きな人たちだけが残ったのかもしれません。これはある種、カルチャーそのものが変わってしまったので、たとえ景気が回復したとしても、以前のように私たちが「ミーハーなことにお金を使う」ということはしないのかもしれません。

みんなで同じことをした時代から、個々が好きなことをする時代へ?

一昔前は、何事もみんなで同じことをしていたと思います。みんなで同じテレビ番組を見て、みんなで海やスキーに行って遊び、みんなでデパートへショッピングへ行くといった具合にです。

それが現代では、おのおのが自分の趣味に合うことだけをやって自由に生きていくようになりました。テレビで共通の番組を見るのではなく、YouTubeを開いて自分の趣味にマッチした動画を見るようになったり、アウウトドアが好きな人、旅行が好きな人、音楽が好きな人、ガジェットが好きな人、それぞれが趣味に応じて違う時間を過ごすようになったのです。

そしてお金の使い方も、趣味に応じて変わるようになりました。このように、消費者のカルチャーが以前とはガラリと変わってしまったので、以前と同じ産業のあり方では、もはや成立しなくなってくるわけです

今はちょうど産業のパラダイムシフトが起きている段階で、旧式の産業が崩壊し、新しい産業のあり方へと移り変わっている時なのでしょうか。そして新しい産業が定着しない限りは、消費が今以上にに拡大することも難しいかもしれません。

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最後に

今回は「お金を使わない」の真実についてご紹介しました。突き詰めると、消費が増えない理由は、どうしても欲しいと思えるものが昔ほどないことが原因なのかもしれませんね。

「トヨタの車を喉から手が出るほど欲しい」と思える若者が今どれくらいいるでしょうか。「どうしてもマイホームを買って住みたい」と思える若者がどれほどいるでしょうか。このように、若者のニーズをきちんと汲み取れていない企業は、将来なくなると思います。

しかしながら、現代人は自分の趣味にはちゃっかりお金を使う傾向があるので、そこにフォーカスするのが正解かもしれません。iPhoneが好きな人は、iPadやApple Watchなども、ついつい欲しくなってしまうものです。

アップル製品は他社製品と比べてとても高いですが、それでも多くの人が魅了されているのには理由があるのでしょう。このように、消費を増やすためには、ただモノやサービスを売るだけではなく、その背後にある趣味にフォーカスして、消費者を満足させることが必要なのかもしれませんね。