第2世代リーフはAndroidスマホ?テスラを打ち破ることができるのか

待望の新型となる日産のEV(電気自動車)、「第2世代リーフ」が2017年9月6日に発表されました。2代目リーフは航続距離を400kmに拡大し、単一車線で利用できる自動運転機能、アクセル、ブレーキ、ステアリングを制御する機能、車庫入れや縦列駐車を自動で行う機能などが搭載され、先代モデルよりも大幅にアップグレードされています(参考: 日産自新型「リーフ」航続距離4割向上400キロ-販売倍増目指す)。また、価格は315万円からと、競合するテスラモデル3よりも安価になっています。日本では先行して10月2日より発売開始とのことです。

第2世代リーフはおそらくヒットする!


この第2世代リーフはおそらくヒットすると思います。その理由は、「航続距離が400kmに拡張された」ことと、「量産体制が整っている」こと、そして「今EVが注目を集めている」ためです。。従来のリーフは200〜280kmしか走れなかったので、「リーフに興味があるけど、航続距離が短いから」という理由で避けていた人も多かったはずです。しかし、第2世代リーフでその問題がクリアされたので、「よし、買ってみるか」と購入を決意する人も増えるでしょう。また、対抗する「テスラモデル3」は素晴らしい車ですが、実際のところまだまだ量産体制が整っておらず、本格的な納車が始まるのが2018年や19年になります。しかし、第2世代リーフは10月2日から販売開始というスピードの早さなのです。これは、日産がこれまで80年以上培ってきた経験によるもので、生産ラインを整えることにおいては新興ベンチャーのテスラよりも圧倒的に有利なのです。さらに、フランスやイギリスがガソリン車販売禁止の政策を発表したことから、今EVはかつてないほどの注目を集めています。これが追い風となって第2世代リーフの売り上げ貢献につながるでしょう。以上のことから、第2世代リーフはおそらく世界中でヒットすることになります。

まだ従来のガソリン車っぽさを捨てきれていない?


このように、大きな進化を遂げた「第2世代リーフ」ですが、まだ従来のガソリン車っぽさを捨てきれていないのも事実です。ナビは相変わらず小さいですし、車内コントールはハードウェア管理です。テスラの「ソフトウェアシステム」やグーグルの「Android in the Car」が主流になりつつある今、従来通りのハードウェア制御の自動車を出し続けるのは、次世代車へ向けての舵取りがまだできていないと感じます。確かに、「技術の日産」と自称している通り、ハードウェアの技術力は世界トップクラスだと思います。しかし、次の時代の車は「ソフトウェア」の力がより重要になってきます。競合するテスラの車は、ハードウェアを見ればそれほど大したことはありません(他社パーツの寄せ集めです)。しかし、ソフトウェアのシステムがとても完成度が高く、またアップデートで次々と新機能が追加されています。これからの自動車は単にEV化するだけではなく、コンピュータ化して人間がどんどん手を触れなくてよくなっていくのです。第2世代リーフにはまだその準備ができていないように思われます。

かつての国産スマホを彷彿とさせる

第2世代リーフは、かつての国産スマホに似ているかもしれません。当時「iPhone」という黒船が世界を席巻し始めていた中で、ついに日本を代表する大手電機メーカーであるシャープがスマートフォン市場に参入し、「Android au」と大々的に銘打って「IS03」という国産スマホをリリースしました。当時多くの人が、「次の時代が始まる」と感じていたはずです。しかしながら、「IS03」は期待外れもいいところで、ワンセグや赤外線通信といったガラケーの機能をそのまま持ち込むことに足を引っ張られて、結果的に大変使い勝手の悪い杜撰な製品となってしまいました。結局IS03を買ったユーザーのほとんどは、その後「iPhone」に乗り換えてしまいました(そしてiPhone大国日本が出来上がっていきます)。第2世代リーフはおそらくヒットしますが、このままソフトウェア周りの進化がなければ、数年後にはテスラの車に乗り換えているユーザーが多いかもしれません。

最後に

今回は、「第2世代リーフ」についてご紹介しました。もちろん、2017年時点でここまで完成度の高いEVを販売できるだけでも日産は先見の明があると思います。トヨタやホンダはまだEVすら開発できていない状況なので、日産より1周以上遅れているのが現状です。そして、この第2世代リーフは世界でヒットしてEVが普及するための起爆剤となることにも期待されます。しかしながら、このままソフトウェア分野への進歩がなければ、数年後にはテスラに後ろから追い抜かれることになるかもしれません。ともあれ、EVが今後主流になっていくことは間違いありません。日産にとっての当面のライバルはテスラではなく、ガソリン車なのです。今後の自動車市場から目を話すことができませんね。