アップルが「VP9 (WebM)」をサポートする可能性はあるのか?

新しく「Apple TV 4K」が発売されましたが、YouTubeの4K動画再生には対応していないことが物議を醸しているようです(参考: 「Apple TV 4K」、YouTubeの動画を4Kで見ることができず 理由はVP9コーデックに対応していないから)

アップルは次世代ビデオコーデックである「H.265/HEVC」に対応したものの、YouTubeはグーグルが提供する「VP9 (コンテナはWebM)」というコーデックを使っているため、VP9非対応のApple TV 4KではYouTubeの4K動画が再生できないのです。

今後Apple TV 4KがYouTubeの4K動画に対応するためには、アップルが「VP9 (WebM)」をOSレベルでサポートする必要があります。

もはやアップルの「VP9対応」は避けては通れない?

アップルは2017年より、次世代のビデオコーデックとして、グーグルのVP9とは対立関係にある、MPEG陣営の「H.265/HEVC」に対応しました。

アップルとしては、今後は積極的に「H.265/HEVC」のコーデックを使っていきたいという考えなのでしょう。

しかし、対するYouTube側が今後、「H.265/HEVC」に対応する可能性はほぼゼロです。そのため、Apple TVでYouTubeの4Kコンテンツを再生するためには、アップル側がVP9に対応するしか方法がありません。

すでに、競合するアマゾンのFire TVは「H.265/HEVC」と「VP9」の両方に対応することで、この問題をクリアしています(参考: Fire TV端末の仕様)。

ライバルがVP9対応している現状を見ると、もはや、アップルの「VP9対応」は避けては通れないのではないでしょうか。

アップルは一時期WebPを採用しようとした?

実は、アップルは一時期、グーグルが提供するWebPという画像コーデックをサポートする実験を進めていました。macOS 10.12(Sierra)とiOS 10のベータ版では、VP9の画像版とも言えるWebPが一時再生可能となっていたのです(参考: アップル、グーグルの画像形式「WebP」をテスト–次期OSのベータ版で)。

ところが、最終的にはWebPの対応は見送られたようで、今は代わりに「HEIF」が次世代画像コーデックとして採用されています。

アップルはWebPをテストした結果、満足いく水準に達していなかったのか、それとも次の新しいOSでWebPとWebM(VP9)に対応させるかどうかは不明です。ただ、アップルが今後WebPやWebMをサポートする可能性はゼロではないことは明らかです。

最後に

今回は、「アップルがVP9 (WebM)をサポートする可能性はあるのか」についてご紹介しました。

アップルがVP9に対応することで得られるメリットは、Apple TV 4KでYouTubeの4K動画が見られることだけではありません。

iPhoneやiPadといったモバイル端末でVP9の再生が可能になれば、より少ないデータ通信量で快適にYouTubeの動画を楽しめるようになりますし、MacがVP9に対応すれば、標準のSafariでYouTubeの4K動画を楽しめるようになります。

つまり、アップルのVP9対応は、世界中のアップルユーザーにとって恩恵があるのです。

YouTubeは世界で最も見られている動画サービスなので、アップルにはぜひVP9をサポートして欲しいところですね。