フィンテックで未来の銀行はどうなる?メガバンクの人員削減をめぐり

日本を代表するメガバンクである、「みずほ銀行」、「三菱東京UFJ銀行」、「三井住友銀行」の3行が、今後数年から数十年かけて、人員の削減店舗数を縮小していくことを発表し、話題を呼んでいます(参考: 3メガバンク計3.2万分業務“大リストラ”&店舗縮小、一斉表面化のワケ)。

この背景には、テクノロジーの進化によって、従来のような銀行システムが不要になってきたことや、他のさまざまな要因によって、銀行そのものが従来ほど稼げなくなってきたことが理由として挙げられています。

果たして、フィンテックの影響で銀行はこれからどうなっていくのでしょうか。

フィンテックで未来の銀行はどうなる?

では、フィンテックで未来の銀行がどんなものになっていくのか考えていきましょう。

フェーズ1. 通帳と支店の廃止

まず、未来の銀行の姿を考える上で、フェーズ1として、「通帳と支店の廃止」が考えられます。

これは、通帳と支店を廃止して、預金残高の管理や、登録情報の変更などはすべてインターネット上で行うように変わっていくというものです。

実は、このフェーズ1はすでに始まっていて、三菱東京UFJ銀行では新規口座の開設は通帳レスに切り替わる方針ですし、ゆうちょ銀行などもすでに既存の通帳ユーザーを、ネット式の「無通帳タイプ」へと切り替えることを推奨しています(参考: ゆうちょダイレクトのご案内)。

そもそも、楽天銀行やイオン銀行などのいわゆるネットバンクは、通帳と支店をはじめから持っておらず、全てインターネットで管理するようになっています。

今後はメガバンクもネットバンクに追随するかたちで、業務にかかるコストを減らしていくことは間違いないでしょう。

フェーズ2. 口座すら不要の時代が到来?

次にやってくるフェーズ2では、「口座すら不要」になるかもしれません。

口座を持たずにどうやって金銭のやり取りをするかというと、アプリを使って個人間送金を行うのです。

実は、この兆候もすでに始まっており、アメリカではPayPayのVenmo (ベンモ)というサービスを使って、アプリで個人間送金を行うことが流行りになっています。

従来であれば、ATMに行って、指定された金額を入力して振り込むのが主流でしたが、このやりとりがスマホで超簡単にできるようになっているのです。

さらに、個人間送金にはアップルも注目しており、iPhoneのiOS 11.2からは、アメリカで「Apple Pay Cash (アップルペイ・キャッシュ)」という個人間送金の機能が実装されるようになります。

今後はこのような個人間送金サービスがだんだん主流になってくることが予想されることと、個人間送金が主流になれば、究極的には給料の振込さえも個人間送金で行うようになる可能性さえもあります。

そうなってくると、当然銀行口座は不要になり、PayPalやアップルのアカウントが口座代わりになってくるのです。

このように、将来的には、口座すらいらない世界がやってくるのかもしれませんね。

最後に

今回は、「フィンテックで未来の銀行はどうなるのか」についてご紹介しました。

もちろん、日本は世界でも類を見ない現金主義国ですし、超高齢化社会なので、そもそも通帳や支店の廃止などもすんなりと進まない可能性があります。

実際、通帳と支店を廃止していきなりインターネットに切り替えると言われても、多くの人は混乱することになると思います。

また、個人間送金などのサービスも、新しいもの好きな人ならともかく、ほとんどの人は従来通りATMに並んで現金でやり取りすることを好む可能性があります。

これらのことを考慮すると、日本におけるフィンテック改革というは、想定よりもずっと時間がかかるかもしれません。

電子マネーが10年以上前からあるのに全然普及していない背景には、やはり日本人とフィンテックの相性が最悪であることが関係していそうです。

とは言っても、今回ご紹介したような未来の銀行の姿は、遅かれ早かれ必ず訪れるものです。

まずは、コンビニでの買い物を電子マネーで払うことや、口座の管理はウェブサービスに切り替えるなどして、今のうちにフィンテックに慣れておきましょう。