政府によるSNS投稿規制は是か非か?自殺対策をめぐり

座間市の事件を受けて政府は、2017年内をめどに、再発防止策として、インターネット・SNSにおける書き込みの規制を行うことを検討しているそうです(参考: 政府、ツイッター規制検討=座間9遺体事件で年内に再発防止策)。
政府によるインターネットの規制をめぐっては、2003年に「出会い系サイト規制法」というのが施行されました。
出会い系サイト規制法は、サイトの運営に対する規制でしたが、今回検討されているのは、全てのユーザーに対するSNSやサイトへの投稿を規制するものです。
まだ具体的な防止策は発表されていませんが、果たして政府によるSNSの投稿規制は良いことなのでしょうか、それとも悪いことなのでしょうか。
政府によるSNS規制は良いのか、悪いのか
これまでの日本におけるSNS投稿のあり方は、基本的にSNSを運営する会社であるツイッターやインスタ(フェイスブック)、ユーチューブ(グーグル)等がそれぞれ定めているガイドラインに委ねられてきました。
正直言うと、これらのSNSはアメリカ企業のサービスというだけあってか、ガイドラインは結構ユルいと思われます。
実際どのSNSにおいても、ポルノ系やテロを助長する投稿、著作権侵害などはすぐに削除されますが、逆にそれ以外の投稿はノータッチで放置されていることが多いです。
しかしながら、その自由さとユルさがウケて、日本でもツイッターやインスタ、ユーチューブが広く普及することになった節はあります。
そのため、日本政府がSNSの投稿に規制をかけることは、これまでのSNSの自由さを奪ってしまうことにもなりかねないのです。
政府によるネット規制がある国は?
すでに政府とネット規制をめぐっては、「インターネットの敵」として、ベラシール、ミャンマー、中国、キューバ、サウジアラビア、シリア、チュニジア、トルク、メニスタント、ウズベキスタン、ベトナムの13ヶ国が、特に検閲が厳しいと言われています。
一方で、現在の日本のインターネット規制は、世界的に見ればとても自由な方で、インターネット自由度ランキングでも9位に入っています(参考: 「世界のインターネット自由度ランキング」が発表!! 世界で一番ネット規制が厳しい国はどこ!?)。
仮に日本でSNSの投稿規制が施行されても、これら13ヶ国のようにはならないと思いますが、1つ事例ができれば2つ、3つ目は導入しやすくなってしまうので、なんとも言い難いところです。
重要なのは、政府によるSNSの投稿規制をして、実際に自殺が減るのかどうかという点です。
単に自殺に関する投稿を規制するよりも、自殺志願者を救済するための措置を増やすことの方が現実的な対応であるように思えます。
精神的に辛くなっていることを口することをタブーにするのではなく、ちゃんとプロの心理カウンセラーやセラピストの人に診てもらえる機会を増やさないといけません。
そのためには、アメリカのようにプロの心理カウンセラー・セラピストそのものをもっと増やす必要があります。
最後に
今回は、「政府によるSNS規制は良いのか、悪いのか」についてご紹介しました。
10代や学生に限らずに、大人であっても仕事や人間関係で悩み、精神的に追い詰められることはよくあります。
風邪やインフルエンザになったときは病院で医者に診てもらいますが、精神的に不調をきたしているときにカウンセラーやセラピストに診てもらう人は少なく、私たちは一人で抱え込みがちです。
それには、日本における心理カウンセリングがアメリカより何周も遅れていることや、そもそも専門家の数が圧倒的に少ないことも原因です。
日本政府が長期的に自殺志願者を減らしたいのであれば、SNSの投稿規制よりも先に心理カウンセリングの充実に力を入れるべきです。
自殺するほど追い詰められている人は、ネットがなくても自殺します。また、学校の先生や会社の上司は心理学のプロではないので、相談してもあまり役には立ちません。
SNSの投稿規制は一時的な対策に過ぎません。他の先進国のやり方を参考にして、もっと現実的な自殺の対策が必要なのかもしれません。