次は「若者の友達離れ」がやってくる?SNS過剰利用の副作用とは

最近は「若者の〜離れ」という言葉を良く耳にするようになりました。

この「若者の〜離れ」の傾向を見てみると、概ね少し前まで過剰供給になっていたものが多いように感じます。例えば、若者の車離れは、80〜90年代の自動車ブーム、スーパーカーブームの反動とも捉えられますし、若者の恋愛離れやカラオケ離れ、高級ブランド離れなども、少し前までブームになっていたものの反動と考えることもできます。

これらは過剰供給による副作用のようなもので、例えば毎日肉を食べていると、肉を食べたくなくなることに似ているのかもしれません。

そして、これらの現象から考えると、次は「若者の友達離れ」がやってくるのではないかと思えるのです。

スマホが加速させた友達至上主義

2000年代に入って携帯電話が一般的に普及してからというもの、若者たちは友達と付き合う時間が従来よりも増えたと思います。学校から帰った後も、携帯のメール・電話で友達と連絡を取り続ける必要ができたためです。

さらに、iモードやEZwebの普及で、mixiやモバゲーのようなSNSが登場し始めると、さらに友達と付き合う時間は増えていきます。朝起きたら携帯をチェックして友達にメールを返し、mixiを開いて友達の日記を随時チェックしなければならなくなったのです。

このように、友達と常に繋がることが当然のことになると、中高生はもちろん、大学生でも昼食も授業もトイレさえも常に友達と一緒にじゃないとカッコ悪いという風潮が生まれ始め、いわゆる「友達至上主義」が成立していくことになります。

さらに、2010年代になるとスマホの普及が始まります。ガラケーからスマホになって一番変わったことは、さらに簡単に長時間友達と繋がれるようになったことです。

ガラケー時代は、電話には電話代が必要でしたし、メールも送受信がちょっと面倒でしたが、スマホの場合、LINEのような無料通信アプリや、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどのさらに多機能なSNSの普及で、無料通話気軽で高速なチャットも可能になりました。

LINEの連絡には、秒単位で返信することを要求されますし、通話も無料になったので何時間も会話に付き合わないといけません。さらに、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムを常にチェックし、友達の投稿にレスポンスする必要も生まれました。

そして、LINEやフェイスブックの友達数、ツイッターやインスタグラムのフォロワー数イコール自分の価値であるという風潮に苛まされ、自身のSNSの投稿にも躍起になっていきます。

もちろん、人が持てる時間は有限なので、そうやって友達に捧げた分だけ、自分のための時間は失われます

1人で好きな映画を見たり、音楽を聞いたり、本を読む時間は失われ、代わりに友達とLINEやSNSで朝から晩まで繋がり続ける生活を送ることを余儀なくされました。

このように、スマホの登場はガラケーが築いた「友達至上主義」の文化をさらに加速させたのです。

何事もやりすぎると副作用が出る

では、学生時代をLINEとSNS漬けの中で過ごした若者たちは、大人になるとどうなっていくのでしょうか。答えは簡単で、1人の時間を渇望するようになるのです。

もちろん、個人差はあると思いますが、今となってはあの忌々しいLINEの通知音が鳴る度に憂鬱な気分になる人も少なくないと思います。かくいう私も、「どうでもいいことで連絡してこないで欲しい」と思っている内の1人です。

そして、LINEの返信もだんだんと雑になり、了解→りょ→り→既読無視→開かず放置に変わっていきました。かつては必死こいてやっていたものの、所詮はLINEもSNSも、ほとんどのやりとりが自分にとってどうでもいいことだったと気がつき始めたのです。

そんな背景から、今後は、周りの友達に同調するよりも、1人で好きな映画を見たり、音楽を聞いたり、本を読んだり、旅に出たりと、1人の時間を大事にする若者がより増えていくのではないでしょうか。

1人の時間が増えると、調べ物をしたり、考え事をする時間も増えます。LINEやSNSで消耗するよりも、充実した時間を過ごせるのは間違いありません。

そして、それほど重要じゃない友人(知り合い)たちに合わせるよりも、自分の趣味や価値観に合うコミュニティに属する方が充実感を味わえるという事実にも気づき始めると思います。

2000〜2010年代に過剰なまでに進んだ友達至上主義は副作用を生み、もしかすると今後は「若者の友達離れ」がやってくるのかもしれません。

次の時代は、友達と過剰に繋がるよりも、個々人が好きなことを追求する超個人主義の時代が訪れるのではないでしょうか。その方が合理的に思えます。

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最後に

今回は、『次は「若者の友達離れ」がやってくる?SNS過剰利用の副作用とは』についてご紹介しました。

実際のところ、「若者の友達離れ」の時代がやってくるかどうかは分かりませんが、私自身が学生時代に友達至上主義の中で育ち、繋がりの過剰供給を経験してきた結果、今は「なるべく1人の時間が欲しい」という考え方に行き着いています。

もちろん、人と人との付き合い方を学ぶことはとても大切だと思いますが、昨今の友達と24時間繋がりっぱなしというのは、さすがにやり過ぎであるように思いますし、横同士の繋がりでは得るものは少ないのも事実です。

かくいう私は人と話をするのは好きです。しかし、コミュニケーションの何たるかを考えると、学生時代の同じメンツとばかりつるむよりもなるべく多様な人と、質のある会話をすることが重要だと思います。そのためには、ものを調べたり、考える時間も必要になるので、やはり1人の時間を確保することが大切なのではないでしょうか。