最低賃金の存在しない「クラウドソーシング」がAI時代で増えていく?

2018年4月13日
[最終更新日]2018年04月16日

最近は、仕事における「AIの導入」や「無人化」、「機械化」といった言葉をよく耳にするようになりました。

この傾向はすでに私たちの身近にも現れ始めていて、GUやイケアに行けば無人のレジで一括清算することができますし、マクドナルドでもタッチパネルで注文できる店舗もあり、さらに映画館でも、チケットの購入はATMのような機械で行うのが当たり前となりつつあります。

このように、これまで人間が行っていた仕事が徐々に無くなっているようです。

もちろん、その背後でこれまでなかった「新しい仕事」も登場しています。例えば、YouTubeは不適切な動画を検出するAI(アルゴリズム)を強化するために、人の手による仕事を「クラウドソーシング」というもので募集しています。

ところが、この「クラウドソーシング」には闇の面もあるようです。

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YouTubeのAI強化の仕事は一件¢10(約¥10)?

YouTubeは、「Amazon Mechanical Turk (アマゾン・メカニカル・ターク)」などで、AIのコンテンツ・モデレーションを訓練するための仕事を募集しているようです(参考: YouTubeの「不適切動画」を仕分けする人工知能は、薄給のワーカーたちが支えている)。

この「アマゾン・メカニカル・ターク」は、いわゆる「クラウドソーシング」というもので、インターネット上で仕事を募集し、ネット経由でワーカーに仕事を行ってもらう、いわば現代の内職のようなものです。

この「クラウドソーシング」は、家にいながら気軽に仕事ができるということで、近年注目を集めています。しかしながら、企業に雇用されているわけではないので、最低賃金が存在せず、仕事の報酬が極端に安くなってしまうという問題も抱えています。

そしてYouTubeのAI強化の仕事も、一件¢10(約¥10)という極めて低い報酬で行われている模様です。その内容は、「ヒューマン・インテリジェンス・タスク」と呼ばれるもので、要は単純作業の繰り返しです。

ワーカーはYouTubeの動画を再生して、ガイドラインに抵触する不適切な動画ではないか、タイトルと動画内容が合致しているか(釣り動画ではないか)、などのチェックリストを1つずつ目と耳で確認してマークしていくだけです。

米国の最低賃金は時給$7.25なので、この仕事で最低賃金を稼ぐためには、1時間で73件程(1件あたり8秒程度)こなさないといけないことになります。

「そんなに待遇が悪いならやらなければいいじゃん」と思うのですが、AIや機械化の影響で失業してしまい、生活費を稼ぐために止むを得ずクラウドソーシングに手を出す人も増えているようです。

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今後はクラウドソーシングが増えていく?

「AIの導入」や「機械化」、「無人化」といった、内からの失業は、今後ますます加速していくことが予想されます。

さらに、アマゾンやウーバー、エアビーアンドビー、ネットフリックスなどのIT企業たちが、トイザらス、町の書店、タクシー会社、ホテル、レンタルDVD店などを廃業に追いやって来たように、今後も既存の会社を次々と潰していく外からの失業も増えていくと思われます。

特に、アマゾンは次はフィンテックに本格的に乗り出すと噂されているので(参考: フィンテックに進出するアマゾン 目指すのは顧客中心サービスか、世界制覇か)、今度は銀行を潰す可能性があるのです。

そうなると、これまで普通に就職して普通に働いた人たちが、ある日IT企業の侵略にあって業績を悪化し、失業するといったケースが間違いなく増えてきます。

では、「IT企業」や「AI」、「機械」のせいで失業した人々は、生きるためにどうするでしょうか。その答えは、ウーバーのドライバーのような「シェアリングエコノミー」の仕事に就くか、もしくはYouTubeの例のような「クラウドソーシング」に手を出すしかないわけです。

「クラウドソーシング」には最低賃金が存在しないので、企業側もこれまで従業員や下請け、アルバイトにやらせていた仕事を、積極的にクラウドソース化して、効率化を図っていくのは必至だと思われます。そうなれば、また内からの失業も増えるわけです。

最後に

今回は、『最低賃金の存在しない「クラウドソーシング」がAI時代で増えていく?』についてご紹介しました。

このように、今後はテクノロジーの進歩によって失業者が増え、失業した人は「シェアリングエコノミー」や「クラウドソーシング」に手を出すことで所得が大幅に減るという、悪循環に突入しようとしています。

その一方で、IT系のベンチャー企業、未上場ながら資産価値10億ドル以上のユニコーン企業、上場して飛ぶ鳥を落とす勢いのベンチャー企業たちは、今後ますます力をつけていき、業績を拡大していくことになるでしょう。

そして、IT企業で働く従業員たちは、快適なオフィスで働き、高い報酬をもらい、中〜長期休暇を取ってリゾートでバケーションを楽しむという、まるでかつての貴族政治の時代に逆戻りしているかのようです。

これが資本主義の成れの果てなのでしょうか。

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