「QR決済」は乱立しすぎ?流行らないまま日本では終わるのか

「フィンテック」という言葉がブームになってから少し経ちましたが、最近は特に「QR決済」というサービスが注目を集めているようです。

これは、ユーザーがスマホの画面にQRコードを表示して、読み取り機でスキャンすることで決済を完了できるというサービスです。

すでに「QR決済」は中国で爆発的に普及していて、特に「Alipay (アリペイ)」と「WeChat Pay (ウィーチャットペイ)」の利用率が高く、中国では現金をほとんど使わなくなったとさえ言われています(参考: 中国でキャッシュレス化が爆発的に進んだワケ)。

そんな中国に遅れを取るまいと、最近は日本でも「QR決済」に力を入れ始めているようです。

2018年7月末時点でも、LINEの「LINE Pay」、楽天の「楽天ペイ」、ドコモの「d払い」、ソフトバンクとヤフーの「PayPay」など、数多くの市場参入が決まっています。

このように、サービスが乱立してしまっているQR決済は、果たして主流になるのでしょうか。それとも、日本ではQR決済は流行らないまま終わってしまうのでしょうか。

乱立しているQR決済は日本では流行らないのか

日本で利用できる電子マネーをめぐっては、2000年代にFeliCaの技術を使ったICカードが登場しました。

現在も使われている主なICカードは、「Suica」、「PASMO」、「Edy」、「nanaco」、「WAON」などで、現金に取って代わることはないにしても徐々に普及してきたという印象です。

さらに、2015年頃を境にiPhoneに標準搭載された「Apple Pay」や、Android端末の「Google Pay」などのサービスも利用可能になり、スマホで電子マネーを使うという流れも定着し始めました。

このように、ただでさえ日本にはFeliCa系のSuicaやらEdyやらApple Payやらの数多くのサービスがすでにあるので、ここにさらにLINE PayやらPayPayやらのQR決済サービスが入ってくると、ややこしくてどれがどれだか分かりにくいという状況になります。

正直言って「これ以上のキャッシュレスサービスはもういいです」というのがユーザー側の本音だと思います。

日本でキャッシュレスのサービスを使うなら、すでに普及しているクレジットカード/デビットカードSuica、Edyだけでもう十分なのです。

そもそも中国でQR決済が流行ったのは、偽札が多かったのと、クレジットカードが使えなかったのと、FeliCaのようなNFC系の決済サービスがなかったなどの特殊な要因が重なった結果だったはずです。

日本では偽札は少ないですし、クレジットカード/デビットカードは普通に使えますし、NFC系のサービスもたくさんあります。だから中国と違ってQR決済は不要なのです。

だいたいカメラでQRコードを読み取るよりも、NFCで非接触決済する方がより進んだ技術です。わざわざQR決済に退化する理由も分かりません。

もちろん、QR決済はNFCと違ってアプリをインストールするだけで使えるので、ユーザー側も店舗側も導入が簡単というメリットはあるかもしれません。何より企業側にとっても参入障壁が低いと思います。

さらに、LINE Payなどは店舗側の手数料が無料になるキャンペーンを展開するようなので、もしかすると一定数普及してしまうかもしれません(参考: 8月1日本格始動、LINE Payの“手数料ゼロ円革命” —— 加盟店数100万に向けた戦略)。

果たしてQR決済は流行るのか、流行らないのか、各社がこれからどういう展開を見せるのか、注目ですね。

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最後に

今回は、『「QR決済」は乱立しすぎ?流行らないまま日本では終わるのか』についてご紹介しました。

今コンビニのレジに行くと、数多くの電子マネーサービスが書かれた対応表を目にすることができます。今後QR決済が始まると、ここにさらにQR決済サービスが追加されることになります。

Suica、Edy、PASMO、nanaco、WAON、ICOCA、manaca、QUICPay、iD、Apple Pay、Google Pay、LINE Pay、楽天ペイ、d払い、PayPay…もはやユーザーにとっても、レジを打つ方にとっても、カオスな状況です。

私たちが目指している「キャッシュレス」や「フィンテック」というものは、こんなにも複雑でややこしいものなのでしょうか。

キャッシュレスは効率が良いはずなのですが、なぜかますますめんどくさくなっている気もします。

果たして、日本のキャッシュレス事情はこれからどうなっていくのでしょうか。