地上波テレビがライブストリーミングを始める日は?次の動画時代

最近は、ビデオストリーミングサービス、あるいは定額動画配信サービスといったものをよく耳にするようになりました。

日本では2014年のHulu、15年のNetflixAmazonプライム・ビデオのサービス開始を火切りに、定額動画配信の利用者も年々増加傾向にあるようです(参考: 定額制動画配信でAmazon、Netflixがシェア拡大 GEM Partnersが調査)。

一足お先に定額動画配信が主流になっているアメリカでは、2018年3月時点で半数以上の世帯がなんらかの定額制動画配信サービスを利用しているそうです(参考: 米国では半数以上の世帯が動画ストリーミングサービスを利用)。

そんなアメリカでは、最近ある分野がひそかに成長しているようです。それは「ストリーミングTV」と呼ばれるものです。

これは、ケーブルテレビの放送をそのままストリーミングで視聴できるサービスで、主にSling TV、DirecTV Now、Playstation Vue、fuboTV、Philo、YouTube TV、Hulu with Live TVなどがあります。これらのサービスは、「pure-play」とも呼ばれるようです。

そして、そんなストリーミングTVの分野が、1年間で58%も利用世帯が増えたとのことです(参考: Wi-Fiがある米国の世帯の5%がストリーミングTVを利用:昨年から58%増)。

果たして、次はストリーミングTVの分野が成長するのでしょうか。また、日本の地上波テレビがライブストリーミングを始める日も近いのでしょうか。

地上波テレビがライブストリーミングを始める日は?

ビデオストリーミングのカテゴリ

まずは、「ビデオストリーミングのカテゴリ」について整理しておきましょう。

ビデオストリーミングには、現在主流の「オンデマンド」のタイプと、米国で伸びつつある「ストリーミングTV」の大きく2つのジャンルに分けることができます。

オンデマンド」は、その名の通り必要に応じて見たいときに見たい動画が見れるサービスで、大きく作品ごとに課金が必要になるiTunes Store、Goolge Playなどの「レンタル(または購入)」のタイプと、月額料金を払えば見放題になるNetflix、Hulu、Amzonプライム・ビデオ、dTVなどの「定額制」のタイプに分けられます。

U-NEXTやTSUTAYA TVなどは「レンタル」と「定額制」をミックスしたサービスになります。

上の図にはありませんが、YouTube、TVer、GYAO!などはオンデマンドの「無料」のカテゴリに入ります。

対して、「ストリーミングTV」とは、テレビ放送されている内容をそのままストリーミングで視聴できるサービスのことです。そのため、基本的にはライブストリーミングになります。

日本では、CSで放送されているいくつかのチャンネルをライブストリーミングで視聴できる「dTVチャンネル」というサービスがこの「ストリーミングTV」のカテゴリに入ると思います。

地上波・BSのストリーミングTVは始まるのか?

現在のところ、テレビ放送と同じ内容がライブストリーミングされているサービスは、「dTVチャンネル」しかなく、地上波やBSがライブストリーミングで視聴できるサービスというのはありません

しかしながら、ビデオストリーミング先進国であるアメリカでは「ストリーミングTV」のカテゴリが成長していることから、日本でも地上波、BSのライブストリーミングサービスが始まる日は近いと思われます。

特にNHKはテレビ放送とインターネットでの同時配信に意欲的で、着々と準備を進めているようです(参考: NHKのネット同時配信実施へ、受信料など見直し議論。総務省で検討会)。

「ストリーミングTV」を始める上でネックになってくるのは、地域ごとの対応です。BSとCSは全国で同じ内容が放送されているのでいいのですが、地上波は地域ごとに放送内容が異なってきます

そのため、地上波をライブストリーミングするとなると、東京では「日本テレビ」を視聴していても、大阪に行くと「読売テレビ」に切り替わるといった対応が必要になってくるでしょう。

また、利用料金はどうなるのかにも注目で、元々有料放送であるCSは当然有料になるのですが(dTVチャンネルは月額¥780)、民放は無料放送である地上波・BSのライブストリーミングを無料で提供するのか、それとも月額料金を取って収益化するのかは微妙なところです。

いずれにしても、テレビ放送と全く同じ内容のものをストリーミングで視聴できるようになる日はそう遠くはないのかもしれません。

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最後に

今回は、『地上波テレビがライブストリーミングを始める日は?次の動画時代』についてご紹介しました。

もちろん、アメリカでは有料放送が主流で、日本では無料放送が主流という大きな違いがあるため、日本でもアメリカのようにストリーミングTVの分野が伸びてくるのはまだ先かもしれません。

すでにCSのチャンネルを「dTVチャンネル」でストリーミング視聴することもできますが、そもそもCS(スカパー!)の加入者数は320万世帯程度なので(参考: 有料・多チャンネル放送契約数)、それほど登録者は伸びないかもしれません。

やはり、日本のテレビ放送といえば圧倒的に地上波が強いので、地上波の「ストリーミングTV」が始まればインパクトは大きくなると思います。

現在はNetflixやAmazonプライム・ビデオなどのオンデマンドが普及している時期ですが、次はストリーミングTVの時代がやってくるのでしょうか。