2020年代のアップルはどうなる?成長する分野と衰退する分野とは

アップルと言えば、今や世界的に有名な企業であり、世界時価総額ランキングでもトップに君臨しています。

そんなアップルですが、実は1990年代には業績が低迷し倒産の危機を迎えていました。

倒産寸前のアップルが復活し大躍進できたのは、1998年に発売されたiMac、2001年に発売されたiPod、2007年に発売されたiPhone、2010年に発売されたiPad大ヒットのおかげでした。

2018年夏には世界初となる時価総額1兆ドルを超えるモンスター企業へと成長し(参考: アップル、時価総額が初の1兆ドル超え 世界初)、まさに2010年代はアップルの黄金時代となりました。

ところが2019年になると、2018年9月発売の新型iPhoneが想定より売れておらず、10年ぶりの減収減益になったことが発表されました(参考: アップル減収減益、課題の大きさ浮き彫り)。

果たして、アップルはもうピークアウトして徐々に衰退していくのでしょうか、それともこれから先の2020年代も成長し続けることはできるのでしょうか?

2020年代のアップルはどうなる?

では実際に、「2020年代のアップルはどうなる?」について考えていきましょう。

今回は、アップルの「2020年代に成長する分野」と「2020年代に衰退・減少する分野」についてそれぞれ順に見ていこうと思います。

2020年代に成長する分野

まずは、「2020年代に成長するアップルの分野」について見ていきましょう。

主に以下の通りになります。

  1. Apple Watch
  2. Apple Music
  3. Apple Pay
  4. App Store
  5. 動画配信サービス (2019年開始)
  6. 雑誌・ゲームのサブスクリプション (仮)
  7. スマートグラス (仮)
  8. 自動車事業 (仮)

1. Apple Watch

1つ目の2020年代に成長するアップルの分野は、「Apple Watch」です。

スマートウォッチである「Apple Watch」は、2015年に初代モデルが発売されて以来、毎年新モデルを発売し販売台数を順調に伸ばしてきています

Apple Watchをはじめスマートウォッチ市場全体も徐々に盛り上がってきており、2018年は前年比61%増となりました(参考: 2018年スマートウォッチ販売数、前年比61%増 Apple Watchが牽引)。

今後も、Apple Watchや他社スマートウォッチの性能向上に合わせて、所有する人も増えていくことになるでしょう。

低めに見ても、2020年代前半はApple Watchは成長を続けると思います。

2. Apple Music

2つ目の2020年代に成長するアップルの分野は、「Apple Music」です。

定額聞き放題サービスである「Apple Music」は、2015年にサービスを開始して以来、順調に契約者数を伸ばしてきています

すでに2018年末時点で会員数は5,000万人を突破し、先行するライバルのSpotifyに迫ってきます(参考: Apple Music契約者数5,000万人突破、8,700万人のSpotifyを追う)。

従来メディアであるCDや音楽ダウンロードからの移行も進んでいるため、2020年代はさらにApple Musicの契約者は増えていくでしょう。

3. Apple Pay

3つ目の2020年代に成長するアップルの分野は、「Apple Pay」です。

Apple Pay」は2014年からサービスを開始(日本では2016年)したスマホ決済サービスです。

国によって仕様は異なるのですが、主にクレジットカードやICカードの決済をiPhoneのNFC(FeliCa)を使って安全に行えるものです。

この「Apple Pay」のサービスは、日本を含め世界で人気を得ていて利用者も増えています

2020年代もApple Payは成長を続けると思います。

4. App Store

4つ目の2020年代に成長するアップルの分野は、「App Store」です。

アップルがiOS、macOS、watchOS、tvOS向けに展開しているアプリ配信ストアの「App Store」は、売上が成長を続けています

また、モバイルゲーム市場も世界的に拡大しているので、今後もApp Storeの売上は増え続けるのではないでしょうか。

5. 動画配信サービス (2019年開始)

5つ目の2020年代に成長するアップルの分野は、「動画配信サービス (2019年開始)」です。

アップルは2019年内に新たに「動画配信サービス」を開始するとされていて、これが今後のアップルを支える重要な事業となるかもしれません。

ただ、すでに先行するNetflix、Amazon Prime Video、Huluなどと競合してどこまでシェアを取れるかは不明です。

アップルは新しい動画配信サービスの準備に力を入れているようなので、この分野の成長にも期待されます。

追記: 2019年11月2日より、「Apple TV+」がサービス開始しました。

6. 雑誌・ゲームのサブスクリプション (仮)

6つ目の2020年代に成長するアップルの分野は、「雑誌・ゲームのサブスクリプション (仮)」です。

これはまだまだ噂段階ですが、Apple Musicのように月額料金を払うことで、雑誌やゲームが利用し放題になるサブスクリプションサービスを準備しているのではという噂が出ています(参考: アップルが「ゲーム版Netflix」を計画中?定額制ゲームサービスを開発者と協議中とのうわさ)。

定額で使い放題のサブスクリプションの分野は成長分野なので、きちんとしたものがリリースされればうまくいく可能性はあります。

※追記: Apple News+とApple Arcadeがサービス開始しました。

7. スマートグラス (仮)

7つ目の2020年代に成長するアップルの分野は、「スマートグラス (仮)」です。

アップルがスマートグラスを開発しているというはたびたび出ていたので、中止になっていなければそろそろ発表することになるのでしょうか。

そもそも「スマートグラス」自体がまだまだ未知数ですが、常にメールやテキストのチェックや、ハンズフリーで地図アプリなどが使えて便利なものであれば、普及する可能性はあります。

また、スマートグラスの完成度次第ではiPhoneを代替するような強力な製品となるかもしれません。

アップルのスマートグラス事業には大いに期待ですね。

8. 自動車事業 (仮)

8つ目の2020年代に成長するアップルの分野は、「自動車事業 (仮)」です。

アップルが「自動運転の研究を行なっている」、あるいは「EV(電気自動車)の開発を行なっている」というがたびたび出ていました。

「自動運転」に至っては、従業員をレイオフしたり、ホワイトペーパーを公開したりと、中止なのか続けるのかよく分からない事態になっています(参考: アップル自動運転車、テスト手順概要の白書を公開。厳しい安全基準が明らかに)。

「EV (電気自動車)」の方は、乗用車ではなく商業用のバンが開発中というも出ていますが(参考: Apple Carは乗用車ではなく電気バンになる?)、実際のところはよく分かりません。

アップルの自動車事業が今後どうなるのかは分かりませんが、もしも自動運転やEVなどがリリースされれば主力事業として力をいれていくことになりそうです。

2020年代に衰退する分野

次は、「2020年代に衰退するアップルの分野」について見ていきましょう。

主に以下の通りになります。

  1. iPhone
  2. iTunes Store (音楽配信)
  3. iPod
  4. HomePod

1. iPhone

1つ目の2020年代に衰退・減少するアップルの分野は、「iPhone」です。

これまでのアップルの躍進はiPhoneと共にあったといっても過言ではないほど、アップルにとってiPhoneは大きな存在です。

そんな超重要なiPhoneなのですが、販売台数で見ると2015年をピーク(iPhone 6〜iPhone 6S)に、2016年以降は減少傾向にあります(参考: Apple製品販売台数推移!iPhoneXS/XR/新型MacBookAir/iPadProでどうなる?)。

販売台数は減っているものの、iPhoneの販売価格そのものを上げることで2016年以降も売上を伸ばし続けてきました

ところが、その高級化路線もついには2018年で限界を迎えてしまったようです。

おそらく、これ以上iPhoneの販売価格を上げることはないと思うので、今後も高いiPhoneを地道に売っていくか、安いエントリーモデルを多く売るかのどちらかになると思います。

どちらにしても、今後iPhoneが2015年の販売台数や、2017年の売上超えることは難しいかもしれません。

また、スマホ自体の市場規模もピークを過ぎている感があるのと、安いモデルは中国メーカーが猛威を振るっています

そのため、やはり今後は高額なiPhone XSの後継機を地道に売っていくのが現実的な戦略となりそうです。

2020年代のiPhoneは販売台数も売上も下がることになりますが、Macのように世界中に多くのファンを持っているので撤退はせずに売り続けると思います。

2. iTunes Store (音楽配信)

2つ目の2020年代に衰退・減少するアップルの分野は、「iTunes Store (音楽配信)」です。

iTunes Storeの音楽配信は、2004年にサービスを開始してからCDに変わる新しい音楽メディアとして成長してきました。

しかしながら、2015年に定額制の「Apple Music」を開始してからは売上を落としており、アップルもiTunes StoreからApple Musicへの移行を促しています。

iTunes Storeの音楽配信はサービス終了するのではという噂も出ているので、2020年代には無くなっている可能性もあります。

3. iPod

3つ目の2020年代に衰退・減少するアップルの分野は、「iPod」です。

iPodは2000年代のアップルの躍進を支えてきましたが、すでにiPod classicが2014年に、iPod nano、iPod shuffleが2016年に販売を終了しています。

2019年2月現在も残っているのはiPod touchのみで、こちらは新型が登場するのではという噂が出ています(参考: 新『iPod touch』の登場はほぼ確実? ゲーム特化機となる可能性も)。

アップルがiPod touchをいつまで売っていくつもりかは分かりませんが、今後も細く長く売っていくのでしょうか。

4. HomePod

4つ目の2020年代に衰退・減少するアップルの分野は、「HomePod」です。

「HomePod」はアップルのスマートスピーカーとして発売されましたが、先行するAmazon Echo、Google Homeに手も足も出ずにすでに終わりかけています

日本にいたってはHomePodが発売すらされていない状況で、2020年代に突入する前に、HomePodはなかったことになる可能性すらあります。

▼「AirPods Pro」もオススメです

最後に

今回は、『2020年代のアップルはどうなる?成長する分野と衰退する分野』についてご紹介しました。

こうやって見てみると、全体を見れば成長する分野の方が多いのですが、いかんせんiPhoneが売上に占めるウェイトが大ぎるのが衰退や売上減少の最たる原因かもしれません。

おそらく今後もiPhoneが無くなることはありませんが、しばらくはiPhoneの販売数減少と売上減少による、アップル全体の売上減少は続きそうです。

ちなみに、iPadやMacは毎年安定して売れていて、アップルにとってはおいしい金のなる木となっています。

おそらくアップルの時価総額は2018年がピークで、2020年代にも超えることはなさそうですが、iPhoneが衰退しても相変わらず巨大IT企業として存在感や影響力は継続すると思います。

2020年代のアップルはどうなっていくのか、注目ですね。