After Effectsが”コンテンツに応じる”に対応へ!動画編集が変わる?

Adobeは「After Effects CC」の最新版にて、新たにビデオ版「コンテンツに応じた塗りつぶし (content aware fill)」を追加することを発表しました(参考: 車や人をAfter Effectsで簡単消去。動画編集が“Adobe Sensei”でさらに進化)。

「After Effects CC」の「コンテンツに応じた塗りつぶし」では、動画の中の削除した対象物を、マスクで囲って指定するだけで、あとはAIのAdobe Senseiが自動的にトラッキングして削除してくれるようです(参考: Content-Aware Fill for video in After Effects April 2019)。

この通称”コンじる”と呼ばれる機能は、これまでも「Photoshop CC」で写真を修正する際に定番の機能として使われてきました。

それが今後は、「After Effects CC」を使って、動画でも”コンじる”を使うことができるようわけです。

果たして、このAfter Effectsのコンじる対応は、動画編集のあり方を変えていくのでしょうか。

After Effectsが”コンテンツに応じる”に対応へ

動画の撮り直しをしなくてよくなる?

これまで、動画の中に写したくないものが写ってしまった場合、撮り直すのが基本でした。

それは、後から動画の中の特定の対象だけを削除するのが面倒な作業だったので、撮り直した方が手っ取り早かったためです。

ところが、「After Effects CC」の「コンテンツに応じた塗りつぶし」を使えば、取り直しをするよりもずっと簡単に動画の修正を行えるようになる可能性があります。

もちろん、「Photoshop CC」を使った写真の「コンテンツに応じた塗りつぶし」に比べると、動画の方が計算量が圧倒的に多いためかなりのマシンパワーを必要とします。

さすがに写真のようにクリックしてすぐ削除とはいきませんが、それでも数秒の動画であれば2〜3分もあればレンダリングして削除できるようです。

このように、うっかり動画に写ってしまった対象を手軽に削除できるようになるので、映像制作の仕事をしている人にとっては嬉しいことだと思います。

フェイク動画が簡単に作れるように?

一方で、After Effectsの「コンテンツに応じた塗りつぶし」の対応には悪い面も予想されます。

「Photoshop」の進化と普及によって、写真を加工して嘘の状態にしたフェイク画像が山のように出回ることになりました。

広い意味では、ファッション雑誌の表紙の写真なんかは99%修正されているので、フェイク画像の一種なのですが、問題なのは悪質なケースの場合です。

特にアメリカの選挙戦の時には、ネット上に嘘八百のフェイクニュースが大量に出回り、また信じた人も多かったので、「もはや何が真実か分からない」というカオスな状態になりました。

今回の、「After Effects」のビデオ版「コンテンツに応じた塗りつぶし」の機能が追加されることで、今後は動画が特定の人物や物が削除されたフェイク動画が大量に作られ、出回っていくことは間違いなさそうです。

選挙時に限らず、あらゆるシチュエーションでフェイク動画が悪用されるケースは増えてしまうかもしれません。

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最後に

今回は、『After Effectsが”コンテンツに応じる”に対応へ!動画編集が変わる?』についてご紹介しました。

このように、「After Effects CC」のビデオ版「コンテンツに応じた塗りつぶし」の機能によって、今後は動画編集の可能性がより広がっていくことになりそうです。

映画やドラマといったコンテンツが、より高いクオリティを実現しやすくなる一方で、フェイク動画などに悪用されるケースはもちろんあると思います。

現状でもAIを活用したフェイク動画は簡単に作れる時代なので(参考: AIで進化する「フェイク動画」と、それに対抗するAIの闘いが始まった)、「この動画はフェイクじゃないの?」と常に疑ってかかるくらいがちょうどいいのかもしれません。

テクノロジーの進歩によって、今後はこれまで以上に私たちのリテラシーが求められるようになりそうです。