NHKネット同時配信はTVerで提供?それとも新アプリ?

2019年5月29日に、「改正放送法」が成立しNHKのテレビ放送とインターネットの同時配信が可能となりました(参考: NHK、ネット同時配信へ 改正放送法が成立)。

これによって、テレビチューナーを搭載していないスマホやタブレット、PCなどからもNHKで放送中の番組をインターネットで視聴できるようになります。

具体的なNHKネット同時配信のサービス開始時期は未定ですが、おおまかに2019年度末(2020年3月まで)に開始するようです(参考: NHKが全番組のネット同時配信可能に 2019年度末にも開始)。

ここで気になってくるのが、NHKネット同時配信サービスが民放の見逃し配信サービスである「TVer」で提供されるのか、それとも全く新しいサービス(アプリ)を用意してくるのかということです。

NHKネット同時配信はTVerで提供?

NHKは2019年度中にTVerに参加することを表明しているので(参考: NHK、CDN事業者に出資「急いで検討」 新年度からTVer参加へ)、TVerで見逃し配信を行うことはほぼ確実ですが、同時配信もTVerで行うのでしょうか。

NHKが同時配信をTVerで行うメリットは、TVerはアプリのダウンロード数が1,800万を超えており、MAU(月間アクティブユーザー数)も1,200万人程度と、すでに利用者が多いことです。

そのためTVerでNHKが同時配信を始めれば、ユーザーは新しいアプリをインストールすることなく、すでに使っているTVerのアプリから視聴できるようになります。

また、アプリとサービス自体を一から開発する必要がないというのもメリットで、2019年度中のサービス開始を目指すのであればすでに存在するプラットフォームを使うという選択もアリなのかもしれません。

それとも新アプリで提供?

とは言っても、TVerの管理権限は民放キー5局が持っているため、NHKがTVerで同時配信を行うと権限を100%コントロールすることができなくなります。

また、動画配信のクオリティはTVerのサービスに依存することになりますし、TVerがダウンすればNHKの配信も見れなくなるなど、自由がきかないというデメリットもあるのです。

そう考えると、NHKのネット同時配信のサービスは、やはりNHK自身が開発して運営する方が合理的であると言えます。

NHKは受信料の2.5%以上をネット配信に投資するとしていて、2018年度の収入が7,000億円だっため(参考: NHK受信料収入、7000億円突破=5年連続で最高更新-18年度決算)、7,000億 x 0.025 = 175億円をネット配信に使うことができます。

参考までに、「Abema TV (アベマティーヴィー)」の月間サーバーコストが数千万円とされているので(参考: AbemaTVのサーバコストは「月数千万円」藤田社長が明かす)、NHKのネット同時配信は年間175億もあれば余裕で運用が可能と思われます。

となると、やはりNHKネット同時配信は新しいアプリでの提供になる可能性がありそうです。

▼「Apple TV 4K」もオススメです

最後に

今回は、『NHKネット同時配信はTVerで提供?それとも新アプリ?』についてご紹介しました。

このように、NHKのネット同時配信サービスは新しいアプリで提供される可能性がありそうです。

実際のところ、NHKの放送がネットで見れるようになったら見るかと聞かれると、ほとんど見ないと思います。

一応家のテレビではいつでもNHKが見れるわけですが、進んで「NHKを見よう」と思うことがないためです。

今やインターネットには、YouTube、Amazon Prime Video、Netflix、Hulu、AbemaTV、GYAO!、U-NEXT、dTV、DAZNといった数多くの動画配信サービスがあるので、その中からわざわざNHKをチョイスすることもないでしょう。

とは言っても、災害発生時などの緊急事態にはNHKの報道は頼りになるので、そいういった緊急の時は便利になりそうです。

果たして、NHKのネット同時配信のサービスがどうなっていくのか、今後も目が離せませんね。