紙の通帳のメリットはない?機械が苦手な人に優しいくらいなのか

三菱UFJ銀行が2019年6月10日から、新規口座開設の際の紙の通帳の発行を廃止し、デジタル通帳への移行を開始します(参考: 三菱UFJ銀が脱・紙通帳、重くのしかかっていた印紙税負担)。

完全に廃止ではなく、希望者には紙の通帳が発行されるようですが、デジタル通帳を推進することで、徐々に紙の通帳そのものを無くしていきたい考えだと思われます。

三菱UFJ銀行が紙の通帳をやめたい理由は、口座1口当たりに課せられる¥200の印紙税を無くしたいためであるようです。

デジタル通帳を閲覧するためには、スマホ、パソコン、タブレットなどのインターネットに接続できるデバイスが必要になります。

おそらく、今後は他の銀行もコスト対策で紙の通帳からデジタル通帳への移行を促してくると思います。

果たして、このまま紙の通帳はなくなっていくのでしょうか、紙の通帳にメリットはないのでしょうか。

紙の通帳のメリットはない?

これから廃止に向かっていく紙の通帳には、メリットがないのでしょうか。

デジタル通帳は、インターネット経由で口座の残高を同期するため、知りたいときにいつでもスマホを取り出して残高を確認することができるのがメリットです。

一方で紙の通帳で口座の残高を確認するためには、必ずATMに行って通帳記入をする必要があります。

そのため、「今口座にいくら残ってるっけ?」と思った時にすぐに調べることができません。

また、ATMは時間帯によっては混雑し、行列に並ばなければならない場合があってイライラしてしまいます。

もちろん行列こそないものの、デジタル通帳もアクセスが集中すると繋がりづらい場合もありますが、それを考慮してもATMまで足を運んで列に並ぶ手間よりも、スマホをポケットから取り出してアプリをタップする方が圧倒的に楽です。

また、デジタル通帳(ネットバンク)は、対応していればスマホのアプリから振込みをすることも可能なので、「振り込みのためにATMに行く」という手間と時間を無くし、心理的ストレスからも解放されます。

セキュリティ面では、紙の通帳には盗まれるリスクが、デジタル通帳にはハッキングされるリスクがあるため、これはどっちもどっちもです。

むしろ、紙の通帳は第三者に残高などの口座情報を盗み見られるリスクがありますが、デジタル通帳はスマホのロックを解除しないと見れないので、その分安心感があると言えます。

また、紙の通帳は紛失したり破損すると再発行しなければいけませんが、デジタル通帳には再発行の概念がなく、ネットに繋がればどのデバイスからも残高を確認できます。

強いて言えば、紙の通帳は停電や災害時にも使えますが、停電時はATMも止まっているので、メリットとは言い難いと思います。

このように、トータルで見れば圧倒的にデジタル通帳に軍配が上がり、紙の通帳にはメリットがないように見えます。

しかし紙の通帳は機械が苦手な人に優しい

そもそも、デジタル通帳はスマホやパソコンなどの電子機器を所持していてかつ、それらを難なく使いこなせることが前提となっています。

日本におけるスマホの普及率は85%を超えていますが、残りの1割以上の人たちはスマホを持っていないわけです(参考: 【最新版】2019年のスマホ普及率を年代・地域・年代別に大公開!まさにスマホオンリー時代!マーケティングがこれからどう変わるべきか予想してみた。)。

この時点で、日本人の1割以上の人たちはデジタル通帳を利用できないことになります(パソコンやタブレットを持っていれば別ですが)。

また、「一応スマホは持っているけど、どうやってデジタル通帳を使うのか分からない」というリテラシーの低い人たちも結構多いと思われます。

そういうアナログな人とたちにとっては、面倒な設定や登録などがなくても使える紙の通帳は優しいと言えます。

また、紙の通帳であれば長いログインパスワードを忘れて口座の残高を確認できなくなるということもないでしょう。

やはり時代の流れとしてはやはり廃止に向かう?

近年の銀行は、AI化などによってシステムの自動化を進めていて、三菱UFJ銀行は2023年度末までに9,500人分の業務を削減し、180店舗を閉鎖するようです(参考: 大手3銀行が合理化加速 IT導入で業務量削減三菱UFJ銀、店舗削減を上乗せ 23年度まで180店)。

このように、銀行は将来的にはオンラインで利用するものになり、従来のような支店は今後必要とされなくなっていく可能性が高いのです。

このようにネットバンクが主流になっていくと、当然ながら紙の通帳も必要なくなってきます(キャッシュレスになればATMさえも不要に)。

すでに、楽天銀行やソニー銀行、イオン銀行、セブン銀行などのネットバンクは紙の通帳を完全に廃止していますが、特に大きな混乱も起きていません。

このことからも、今後は紙の通帳が廃止に向かっていくのは時代の流れとして逆らえないのではないでしょうか。

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最後に

今回は、『紙の通帳のメリットはない?機械が苦手な人に優しいくらいなのか』についてご紹介しました。

このように、紙の通帳のメリットは機械が苦手な人に優しいことくらいしかないので、トータルで見ればデジタル通帳の方が良いと言えます。

しかしながら、日本は人口の約3割が65歳以上の高齢社会で、高齢者の機械苦手率も高いため、「紙の通帳を廃止されると困る」という人たちが多いと思います。

そのため、紙の通帳にメリットは無くても完全に廃止するこはできないというのが現実的なところで、まだあと数十年は紙の通帳が生き続けることになりそうです。

果たして、日本における紙の通帳の文化が今後どうなっていくのか、目が離せませんね。