テレビ局は将来IT企業の下請けに成り下がる?番組を 供給だけの存在に

「テレビ」と言えば、4大マスメディアと呼ばれるものの1つで、戦後から現代まで人々の生活の中心として存在してきました。

日本におけるテレビの普及率は1985年に99%を突破し、まさに1家に1台置かれ、もはや全国民がテレビを見ていると言っても過言ではないほど普及してきたのです(参考: 耐久消費財の世帯普及率の変化)。

ところが、そんな最強のメディアであったテレビにも、最近は先行きが危ぶまれるようになってきました。

インターネットの普及と、SNSやネット動画の登場によって、若い世代のテレビ視聴が減少し、「若者のテレビ離れ」などと言われようになったのです(参考: 10代はテレビよりネット動画!有料(定額)動画配信サービスも成長)。

さらに興味深いのが、視聴率が好調であっても、広告費が減少しているということです(参考: 日テレとテレ朝、視聴率上位にも襲うネットの荒波)。

これまでは視聴率低下がテレビの衰退要因として語られることが多かったのですが、ネットメディアが急成長していることで、相対的にテレビの広告費そのものが低下し始めたようです。

このまま行くと、テレビはたとえ視聴率が低下しなかったとしても、広告費の低下が続くことになります。

そして広告費の低下が続けば、テレビは今後グーグル、アマゾン、ネットフリックス、アップルなどのIT企業に番組を供給するだけの下請けのような存在になってしまう可能性があります。

テレビ局は将来IT企業の下請けに成り下がる?

テレビ局はこれまで、自社でニュースや番組を作って放送し、その間に広告を流すことで成り立ってきました。

無料放送で運営しているテレビ局にとっては、広告費が売上にとって超重要であって、その広告費は視聴率によって上下してきました。

しかしながら、インターネットが普及し始めた2000年代頃から徐々にテレビ全体の視聴率が低下し始め、更にスマホの普及が始まった2010年代からは更に視聴率の低下に拍車がかかりました。

とは言っても、2019年時点で日テレ、テレ朝はゴールデンタイム平均10〜11%程度の視聴率を獲得していて、ネットと比べてもまだまだ圧倒的に視聴者の多いメディアとなっています(参考: 主要テレビ局の複数年にわたる視聴率推移をグラフ化してみる)。

問題はここからで、視聴率が堅調に推移しているのにも関わらず、広告費の低下が始まったことです。

視聴率は好調であるのにも関わらず、2019年4〜9月期の日テレ・テレ朝のスポット広告費は前年同期比で7%下落したようです(参考: 日テレとテレ朝、視聴率上位にも襲うネットの荒波)。

この原因は、ニュースサイトやSNS、YouTubeなどのネットメディアの急成長にあって、ネット広告が伸びた結果、相対的にテレビ広告費の低下が始まっているようです。

このままテレビ広告の減少が続けば、生き残りをかけてテレビはネットに本格的に参入していかなければならなくなります。

日本のテレビ局はGoogle、Amazon、Netflix、Appleには絶対に勝てない

日本のテレビ局も一応ネット配信の分野に手を出していて、TBS・テレ東のParavi、日テレのHulu、フジテレビのFOD、テレ朝のAbemaTVなどのサービスがあります。

しかしながら、アメリカ企業の巨人であるグーグルの「YouTube (ユーチューブ)」、アマゾンの「Amazon Prime Video (アマゾン・プライム・ビデオ)」、「Netflix (ネットフリックス)」などと比べるとと、ユーザー数で足元にも及んでいませんし、さらにここにアップルの「Apple TV+」も新規参入してきました。

このままテレビ広告費の減少が続いていけば、おのずとテレビ局はネットで戦う必要が出てくるので、「TBS・テレ東・日テレ・フジテレビ・テレ朝」VS「Google・Amazon・Netflix・Apple」のバトルが勃発することになります。

そして言うまでもなく、日本のテレビ局たちはアメリカの巨大IT企業には絶対に勝てません(ノウハウも人材もない)。

そしてアメリカのIT企業に敗北した日本のテレビ局たちの末路は、ニュース番組はYouTubeで配信するようになり、ドラマやバラエティ番組はPrime VideoやNetflixで配信されるようになっていきます。

つまり、日本のテレビ局は実質的にはIT企業の下請けのような存在と成り下がり、ただ番組を供給するだけになるのです。

テレビ局は数多くのコンテンツを持っている

テレビ局のTBS・テレ東・日テレ・フジテレビ・テレ朝は、これまでの歴史で製作してきた数多くのドラマやバラエティ番組といったコンテンツを所有しています。

今後はこれらのコンテンツをAmazon Prime VideoやNetflixなどに切り売りしていくことで、下がり続ける広告費を補填することになると思います。

昔の懐かしいテレビ番組やドラマなどは需要がありますし、新しいドラマもヒットすればネットで多く視聴されるので、テレビ局にとっては収入源になると思います。

すでにテレビアニメはAmazon Prime VideoやNetflixで配信されるケースが増えてきているので、今後はドラマやバラエティなども後に続くでしょう。

このように、テレビ局は今後自社コンテンツをIT企業に供給していくことになりそうです。

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最後に

今回は、『テレビ局は将来IT企業の下請けに成り下がる?番組を 供給だけの存在に』についてご紹介しました。

このように、今後はテレビ広告費が下がっていくことが避けられないので、テレビ局はIT企業にコンテンツを供給する下請けのような存在になっていくと思います。

テレビ局はこれまで、新規参入ができない分野で絶対的な地位にいたのですが、今後はインターネットによってその権力を奪われることになります。

テレビがインターネットの中のコンテンツの1つとして成り下がった場合、果たしてどれくらいの人が視聴するのか、非常に興味深いところではあります。

テレビやインターネットの動画配信サービスが今後どうなっていくのか、目が離せませんね。