日本のドラマが安っぽい4の理由!9割はカメラが悪い?

最近は、Amazon Prime VideoやNetflixなどの定額動画配信サービスの普及によって、「海外ドラマ」がより気軽に見れるようになりました。

人気海外ドラマには、「ブレイキング・バッド」、「ゲーム・オブ・スローンズ」、「ウォーキング・デッド」、「ストレンジャー・シングス」、「チェルノブイリ」などなどがあります。

そして、海外ドラマを見た後によく感じることが、「日本のドラマが安っぽく見える」ということです。

もちろん、海外ドラマと日本ドラマでは予算が桁違いでCGもたくさん使われているというのもありますが、そこではないもっと根本的な部分に問題があると思います。

そこで今回は、「日本のドラマが安っぽい理由」について見ていきましょう。

日本のドラマが安っぽい4の理由

日本のドラマが安っぽい理由1. ビデオカメラで撮っている

1つ目の日本のドラマが安っぽい理由は、「ビデオカメラで撮っている」です。

日本のテレビドラマでは、ほぼ100%ビデオカメラを使って撮影されています。

「え?ドラマってビデオカメラで撮るものじゃないの?」と思う方も多いかもしれませんが、海外ドラマの撮影ではビデオカメラは使われません

海外ドラマの撮影では、映画用のフィルムカメラや、「デジタルシネマカメラ」で撮影されるのが一般的です。

例えば、「ゲーム・オブ・スローンズ」ではARRIのALEXAというシネマカメラが(参考: ALEXA wins the “Game of Thrones”)、「ストレンジャー・シングス」ではREDが使われています(参考: Netflix|人気作品はどんなカメラで撮影してる?)。

なぜ海外ドラマの撮影ではビデオカメラではなくシネマカメラを使うの?」という理由は、シンプルにその方が画質が良いからです。

シネマカメラは映画の撮影用に作られたカメラなので、シネマカメラでドラマを撮ることで映画と同じクオリティの映像を作ることができます。

逆に、ビデオカメラは主にニュースや情報番組などの報道向けに作られたカメラなので、ビデオカメラでドラマを撮ると、テレビ番組の再現ドラマのようなチープな映像になってしまうのです(あるいはカラオケのイメージビデオ)。

このように、シネマカメラを使ってドラマを撮影するだけでも、映像のクオリティが格段に上げられるのですが、なぜか日本のドラマではなかなかシネマカメラの導入が進みません

なぜ日本のドラマでシネマカメラが使われないのかという理由は、おそらく予算の関係と、シネマカメラを使いこなすノウハウがないということが考えられます(ビデオカメラの何倍も操作が難しい)。

ちなみに、日本のテレビ番組でも「仮面ライダー」などの特撮ではシネマカメラが導入されている例もあります(参考: VARICAM 活用事例Vol.4)。

日本のドラマが安っぽい理由2. 60fps

2つ目の日本のドラマが安っぽい理由は、「60fps」です。

日本のテレビドラマでは、ほぼ100%60fpsで撮影されています(たまに30fpsもあります)。

一方で、海外ドラマでは24fpsで撮影されるのが一般的です。

そもそも「fps」とは、フレームズ・パー・セカンドの略で、1秒間のコマ数を表しています(フレームレートとも呼ばれる)。

このfpsの数値が高いほど、映像が滑らかでヌルヌルして見えるようになります。

ここで、「fpsは高い方が良いんじゃないの?」、「60fpsで撮ってる日本のドラマの方が良いのでは?」と思いがちなのですが、このフレームレートは高ければ高いほど良いというわけではありません

例えば報道番組などの、”事実を伝えるもの”であれば、より肉眼で見る動きに近い60fpsが好ましいです。

また、スポーツ中継やゲームでは、素早い動きを確認しやすくなって迫力が増すので60fpsの方が効果があります(最近のゲームは120fpsもあります)。

これら報道番組やスポーツ、ゲームは、細かい編集を繰り返すものではないということも60fpsが向いている理由になります。

それに対して、映画やドラマ、ドキュメンタリー番組などの”作られた世界を見せる”ものでは、肉眼の動きよりもカクカクした24fpsが効果的であるとされています。

この24コマという数字に至るまでは紆余曲折あって、映画が登場した頃は10コマや16コマで撮られていたものが、最終的に24コマがベストとして2019年現在まで引き継がれてきています

そして現代でも映画やドラマ、ドキュメンタリーが24fpsで撮られる理由は、シンプルに「映画っぽく見える」、「チープに見えにくい」ためです。

また、映画、ドラマ、ドキュメンタリーは細かい編集作業を繰り返さないといけないので、フレームレートを低くすることでレンダリング負荷を減らしてコストカットできるという効果もあります。

あとは、映画やドラマでは後からセリフを入れる「アフレコ」を行うため、フレームレートが低い24fpsの方がアフレコがバレにくいという効果もあります。

ちなみに、「ジェミニマン」という映画では120fpsで制作されているのですが、「映像がチープ」、「カラオケ映像みたい」と散々な評価をされています。

このように、日本のドラマは60fpsで撮られているせいで、安っぽいチープな見た目になってしまっています。

日本のドラマが安っぽい理由3. レンズの画角が広すぎる

3つ目の日本のドラマが安っぽい理由は、「レンズの画角が広すぎる」です。

日本のテレビドラマでは、レンズの画角が広いシーンが多いです(広角レンズを使いすぎ)。

それに対して海外ドラマでは、レンズの画角がより狭い中望遠レンズや望遠レンズで撮られてるシーンが多いです。

レンズの画角が広くなると、より多くの情報が画面に入り、映像に広さを感じるようになります。

そのため、街並みや自然などの風景を撮影する時には広角レンズは効果が抜群です。

一方で、中望遠や望遠レンズになると、画面の情報量が減って、映像に狭さを感じるようになります(参考: 「中望遠」レンズの特長とその楽しみ)。

さらに、中望遠〜望遠ではフォーカスした部分の背景がボケる、いわゆる被写界深度を浅くできる効果もあります。

そのため、人物や物などを目立たせたい時は中望遠・望遠レンズが効果的なのです。

ドラマは登場人物の会話シーンを中心に構成されているので、中望遠・望遠レンズを中心に使っていくと、リッチで映画っぽい見た目に仕上がっていきます。

ここで重要になってくるのが、中望遠・望遠レンズを使うためにはシネマカメラが必要になるということです(あるいは一眼レフカメラ)。

ビデオカメラでもズームをすることで中望遠・望遠のような撮り方ができますが、ビデオカメラはセンサーサイズが小さいのとレンズがショボいためどこまでいってもビデオ特有のチープな画質を抜け出すことができません

とどのつまり、ドラマで中望遠や望遠レンズを使って撮影したいのであえば、ビデオカメラではなくシネマカメラを選択する必要があります。

日本のドラマが安っぽい理由4. カラーグレーディングしてない

4つ目の日本のドラマが安っぽい理由は、「カラーグレーディングしてない」です。

「カラーグレーディング」とは、映像の色を調整して美しく見せるための編集作業のことです。

日本のテレビドラマでは、ほとんどこの「カラーグレーディング」が行われておらず、ビデオカメラで撮影した状態の色でそのまま出力されています。

海外ドラマでは、「カラリスト」というカラーグレーディングの専門職の人が必ず映像の色を調整しています。

そもそもカラーグレーディングを行うためには、撮影時に色情報のデータを保存しておくことが必要です。

ビデオカメラは撮影したデータをそのまま再生することを想定して作られているため、色情報のほとんどを撮影時に捨てて圧縮してデータ容量をなるべく軽くしています(クロマ4:2:0とも呼ばれます)。

シネマカメラでは、色情報の全てのデータを保存できるRAW撮影が行えるため、編集時にカラリストが自由自在に色をいじることができるのです。

このように、ドラマで本格的なカラーグレーディングを行うためには、そもそもRAW撮影に対応したシネマカメラを使って撮影する必要があるのです。

まずはシネマカメラを導入しよう

このように、日本ドラマが安っぽい原因を突き詰めると、そもそもまずはビデオカメラではなくシネマカメラを使いましょうということになります。

もちろん、シネマカメラを使ってRAW撮影をすると、ビデオカメラとは比較にならないデータ量になるので、コストが増大します。

また、シネマカメラを扱えるカメラマンを雇う必要もありますし、RAW動画のデータを扱える人材カラリストなども必要になってきます。

このように、ドラマのクオリティを上げるためにシネマカメラを導入しようとすると、制作費が増えるため今のテレビ局では実現が難しいのかもしれません。

そんな中、日本のドラマでもシネマカメラを使ってうまく制作しているところがあります。

それは定額動画配信サービスの「Netflix (ネットフリックス)」で、Netflixが製作した「全裸監督」や、2020年配信の「Followers」ではシネマカメラを使って撮影されています。

おそらく、今後もNetflix製作による日本ドラマが作られていくことになるので、クオリティの向上に期待しましょう。

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最後に

今回は、『日本のドラマが安っぽい4の理由!9割はカメラが悪い?』についてご紹介しました。

このように、日本ドラマが安っぽく見える問題の9割はカメラが原因であると言えます。

もちろん、脚本や役者の演技なども問題になってくるかもしれませんが、海外ドラマでもひどい脚本や演技が下手な役者がいることは結構あります

そう考えると、やはり見た目の第一印象としての”画質”に問題があると考えるべきです。

ただし、日本のテレビドラマは放送しながら同時に次のエピソードを撮影して編集を行うというクレイジーなスケジュールで制作されます。

日本のテレビドラマはポスプロに充てられる時間が極端に少ないため、シネマカメラを使ってRAW現像やカラグレを行うのは多分無理です。

となると、やはりポスプロに十分な余裕があるNetflixなどの動画配信サービスで、今後はクオリティの高いドラマが作られていくのではないでしょうか。

果たして、日本のドラマは今後どうなっていくのか、目が離せませんね。